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ワークショップ情報

第34回ワークショップ

【投稿日】2013.5.22

概要

日時: 2013年5月22日㈬ 15:00−17:00
場所: 青葉山キャンパス 学際科学フロンティア研究所 大セミナー室
世話人: 尾畑伸明

プログラム内容

15:00−15:50

中島 千尋 (東北大学 原子分子材料科学高等研究機構(WPI-AIMR) インターフェースユニット)

講演題目

計算困難問題への、統計力学からのアプローチ

内容

計算機科学の問題に対して、統計力学を用いてアプローチする話題を紹介する。最適化問題(例 : 巡回セールスマン問題)や制約充足問題(例 :地図の塗り分け問題)に、統計力学の分野で培われた手法を導入することにより、効率的な解法や問題の性質(計算複雑性クラス)の解析など、顕著な成果がもたらされている。一方で、上記の問題以外にも、素因数分解や結び目不変量の計算など、計算量クラスが議論される問題がある。本講演では、これらの様な一見最適化問題には見えない問題を統計力学の模型として定式化し、模型の振る舞いと計算論的な性質の関連を議論する。

文献
[1] R. Monasson, et. al., Nature (London) 400, 133-137 (1999).
[2] C.H.Nakajima and T.Sakaue, J.Phys.Soc.Jpn. 81, 035001 (2012).
[3] C. H. Nakajima, arXiv:1304.0204 (2013)


16:10−17:00

郡司 幸夫 (神戸大学 理学研究科)

講演題目

双対性とそこからの逸脱の出会い

内容

現象の多くは、構造と機能、モノとコト、内包と外延といった、広い意味での双対性において理解されることが多い。しかし双対図式自体に留まることでいいのかという反省が、Manuel Delandaら思弁的実在論と呼ばれる哲学者達から起こっている。本講演では、Delandaとは独立ながら、双対図式に留まる時そこからもたらされるのは、自己言及や相転移臨界現象的な生命描像に過ぎないことを示し、むしろ双対図式の多様性・そこからの逸脱という二つの軸の接続によって、臨界的で二つの相の間の奇跡的なバランスではない、より頑健で適応可能な生命像が得られることを示す。この問題について、
(1)非同期セルオートマトンの自己組織的な臨界性、
(2)ミナミコメツキガニ(兵隊ガニ)の群れに関するモデルとデータ、
(3)アリの道標や人間の主観的時空形成のモデル
を題材に議論する。以上を通して、モノとコトの分化・脱分化の反復が、双対性の軸とその多様性の軸の接点に生じることが示される。

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