組合せ論セミナー

 


第13回 2010年11月11日 15:30〜17:00

野崎寛(東北大学)「距離集合とLarman-Rogers-Seidelの定理の一般化」

ユークリッド空間R^d上の有限集合がs距離集合であるとは,互いに異なる2点間の距離の種類がs個である時を言う。例えば,正方形の頂点集合は,辺と対角線にあたる2種類の距離があり,2距離集合であると言える。R^d上のs距離集合には元の個数に対して,ある上界が知られており,次元dとsを固定した時に,元の個数が最大になるs距離集合を決定,分類することが,距離集合の基本的な問題である。Larman-Rogers-Seidelは,次元に対してある程度大きい2距離集合に対して,距離の二乗比が,整数比になるという強い結果を与えた。つまり,元の個数が2d+3以上の2距離集合に対して,a,bをその2つの距離としたときに,a^2/b^2=(k-1)/kとなる整数kが存在するという主張である。この講演では,その定理の任意のsへの拡張を紹介する。また,距離集合と球面デザインやアソシエーションスキーム,強正則グラフなどとの関係,球面上の最大2距離集合の分類における最新の結果を紹介する。