東北大学 大学院情報科学研究科
純粋・応用数学研究センター

組合せ論セミナー

第65回 2015年3月17日 14:00〜15:30

青木 宏樹(東京理科大学)「「無限積=無限和」の等式を与えるヤコビ形式について」

19世紀に発見された「ヤコビの三重積公式」は、「無限積=無限和」の形をした非自明な等式である。直接的には、この公式は2変数の形式的べき級数の等式であるが、収束域内においては正則関数の等式とみなすこともできる。さらに、現代の数学の知見をもってすれば、この公式は、アフィンリー環の分母公式であるとも、また、ヤコビ形式の等式であるともみなすことができる。では、他に「無限積=無限和」の形をした非自明な等式は、どのくらい存在するのであろうか。たとえば、アフィンリー環を出発点にすれば、指標公式や分母公式という「無限積=無限和」の形をした非自明な等式があらわれる。本講演では、ヤコビ形式を出発点に、この問題を考えたい。まず、Borcherds による無限積を用いたヤコビ形式の構成と、講演者によるそこから「無限積=無限和」の形をした非自明な等式を導くアイデアを概説したあと、現在までにわかっていることと、今後の課題を述べる予定である。