組合せ論セミナー

第86回 2018年1月19日 14:00〜15:30

小林雄介(千葉大学)「Leech格子の被覆半径が$\sqrt{2}$であることの証明の簡略化」

Leech格子の被覆半径が$\sqrt{2}$であることは Conway, Parker, Sloane によって既に証明されている. そこではLeech格子の中に同型を除いて23種類存在するdeep holeたちを個別に調べることで証明を完成させた. その後, Borcherdsはそれらを統一的に扱う証明を与えた. Borcherdsの証明にはその中心的役割を担う補題がある. その補題の証明にはVinbergアルゴリズムと呼ばれる双曲幾何に関連する手法が用いられており, 格子の話題とは少し離れた分野の知識が必要であった. そこで, これらの道筋をなるべく格子に関連した話題の中だけで簡単に説明することが講演者の目標であった. Ebelingは著書 "Lattices and Codes" の中でこの目標を達成するために大変役立ちそうな補題を与えていたが, 残念ながら証明に誤りがあり, また, 補題の主張には反例があった. 本講演ではこのEbelingの補題の修正版について述べる予定である.