組合せ論セミナー

第100回 2022年11月30日 15:00〜16:30

喜多 奈々緒 (東北大学)「マッチング理論におけるグラフの標準分解」

 グラフのマッチング理論においては,総称して標準分解と呼ばれる一連のグラフの構造定理がその基盤を成す.標準分解はいずれもグラフに対して一意に定まる分解で以て全ての最大マッチングを一括して記述する特徴を持ち,マッチングに関する様々な問題を解く上で用いられてきた.既存の標準分解には Gallai-Edmonds 分解など 1960 年代前後に発見された3つが知られており,それぞれの文脈で重用されてきた.しかし,既存の標準分解はそれぞれ特殊なグラフクラスを対象としている等の欠点があった.
 本講演では,講演者の研究によって得られた新たな標準分解についてその理論的応用とともに紹介する.この新たな標準分解は既知の標準分解の一般化・細分を内包し,古典的標準分解を統一的に理解する枠組みを与える.この新たな標準分解を用いることにより,マッチング双対最適解の束論的特徴づけや,タイトカット補題(Edmonds ら 1982)などの別証明が得られている.さらに本講演では,古典的標準分解あるいはマッチング理論と Tutte 行列や混合行列などといった組合せ論的行列理論の諸対象との関連をもとに,標準分解理論に関するさらなる課題について紹介する.

※参加をご希望の方はフォームから11月28日(月)までにご登録をお願い致します。ご登録いただいた方には、当日までにミーティングURLをお知らせします。