数学のとらえ方は人それぞれ多様ですが、それが長い人類の英知を集積した体系的な学問であることは皆が認めるところでしょう。数学のもつ本質性や体系性を追究するのが数学者(数学のクリエータ―)の仕事です。一方、数理モデルや数学的論証なしに科学は成り立たず、数学は諸科学に共通する言語や道具として基礎を支えています。そこには数学に長けた数学ユーザーが限りなく広がって、数学者の及ばない先端的な研究が進んでいます。残念なことに、昨今の学問の細分化とも相まって、数学研究が自己目的化され過ぎて、異分野との交流が損なわれてきた経緯があります。数学の本来的な研究姿勢である本質の追究や体系の構築は、細分化された諸分野を統一するような概念形成や他分野の学問の発展に貢献するべきだと考えます。
応用数学連携フォーラム(AMF)は、数学者と諸分野研究者との研究交流の1つの形をめざして、2007年9月に発足しました。そのポリシーは、大上段に構えることなく、身近の研究者たちに積極的に声をかけることで、少しずつ研究ネットワークを広げてゆくことです。数学のクリエーター達と諸分野の数学ユーザー達との出会いの場をつくって、気楽なおしゃべりから学際研究や融合研究の萌芽を育ててゆきたいと考えます。数学を研究にもっと有効に活用したい、素朴な疑問にアドバイスが欲しい、新しい数学を知りたい、ということはないでしょうか?数学の実用の現場をもっと知りたい、数学をもっと使って欲しい、ということはないでしょうか?AMFは数学をめぐって、現状に満足しないすべての研究者たちの参加を歓迎します。
AMFはボランティアベースの活動です。そのエネルギーはもっぱら好奇心に発するものですが、これまでに国際高等研究教育機構(旧)・理学研究科数学専攻・情報科学研究科から様々な形でご支援をいただいており、関係者のご配慮には深く感謝しております。とりわけ、総長裁量経費による東北大学重点戦略支援プログラム 「数学をコアとするスマート・イノベーション融合研究共通基盤の構築と展開」(平成22~26年度,代表者:情報科学研究科教授 尾畑伸明)による支援を賜り、若手研究者たちが育ったことは、私たちとしては大きな収穫でした。
2016年4月からは、事務局を情報科学研究科・純粋応用数学研究センターに移して、運営体制を強化しています。今後ともよろしくお願いたします。
(2016年4月 応用数学連携フォーラム代表 尾畑伸明)
ちょっとのぞいてみたいという方は、随時開催しているワークショップなどはいかがでしょうか。
院生や学部生の方も含めて、興味のある方はどなたでも自由にご参加いただけます。事前登録など何も必要ありませんので、どうぞ、お気軽にお越しください。