卒業研究について


『生物現象に潜む数理』

------- 数理モデリングと数理モデル解析による生物現象の数理的考察 --------


卒業研究の意義についてのコメント


この卒業研究では,卒業後の進路,すなわち,進学予定であるとか就職予定であるとかによって登録者を区別することは一切ありません。卒業後の進路に関わらず, 個々の登録者には,個々の登録者が納得のいく卒業論文という『作品』を仕上げてもらいたいと考えています。

この卒業研究では,学術論文誌に掲載されるレベルの研究を目指しますが,学問的な価値がこの卒業研究の第一義とは考えていません。 そのようなレベルの研究を目指すことで,この卒業研究において登録者が得る経験こそが, 登録者の卒業後の進路に関わらず,貴重な財産になると思っています。 ですから, その経験こそがこの卒業研究の第一の意義だと考えています。 このため,できうる限り様々な,実質的な(うわべだけに終わらないような)経験を得られるように卒業研究を展開していけるように配慮していきたいと思います。 また,その経験は,学問的で,直接,(世界でこれまで誰もやっていないという!)研究という世界に触れることのできるものですから,「大学生活を締めくくる」べき最後の1年間として,充実した卒業研究になればと思います。

3年次の年末より就職活動は始まります。また,教育実習も場合によっては,前後期,それぞれ2週間が必要になります。 その結果,特に,学期前半におけるセミナーがなかなか本格的に行えない可能性もあります。 無論, 就職や教育実習などの卒業後の進路に関わる活動は大切ですから,卒業研究において,そうした活動への配慮はもちろんします。そのような卒業後の進路に関わるような活動が4回生時の大学生活のそれ相当の時間を奪うという現実は残念ですが, 大学における最後の勉学期間をできるだけ充実して過ごしてもらえるような卒業研究となるように相談しながら最良の対応を考えていきたいと思います。


英文による論文作成について卒業論文の一部を英文で書いてもらう予定です。これまで英文で自然科学の論文を書いたことはまずないでしょうからそれなりに苦労すると思いますが,それも,卒業後の進路に関わらず,(広い意味で)「いい経験」になると思います。英文で書くといっても,文学的な英文ではむしろ不適切 で,数理の論文の慣習にのっとった表現を使って書くことになります。そのような慣習的表現は,前期における英文文献の輪読や,個々のテーマに関する英文文献の勉強を通じて触れていくことになります。最終的な卒業論文の英文については,じっくりと瀬野と打ち合わせ,検討,推敲を繰り返しながら少しづつ仕上げていく感じでやっていきますので,英語が得意である必要はまるっきりありません。どのような感じなのか,については,瀬野の所にある,過去の卒業論文を見てもらうといいかもしれません。


自分で主体的に研究に取り組むことについてこの卒業研究で特にこだわっていることの一つが,自分の研究テーマを納得して決めることです。自分で納得して選んだ研究テーマを自己責任として卒業研究として仕上げるという一連の経験がこの卒業研究ですから,自分が納得して選んだテーマでなければ,この卒業研究では取り上げかねます。また,個々のテーマが決まって後,卒業研究を進めていく上で,自分で問題を発見・設定し,取り組んでいくことが非常に重要になります。このような自発的な問題発見・設定は,積極的に自分の研究テーマに取り組む意識なくしては難しいものです。そのような自発的な問題発見・設定に伴って得られる経験は,卒業後,いかなる形ででも役に立つものだと思います。



Go back to the Page of 卒業研究