科学技術振興機構(JST)は、戦略的創造研究推進事業において数学分野では初めてとなる研究領域「数学と諸分野の協働によるブレークスルーの探索」(領域総括:西浦廉政(北海道大学電子科学研究所教授))を平成19年度からスタートさせています。
戦略目標として、幅広い科学技術の研究分野との協働を促進し、社会的ニーズの高い課題の解決へ向けた数学・数理科学研究によるブレークスルーを探索することを掲げています。この研究領域の下に、平成19年度から個人型研究のさきがけが、平成20年度からチーム型研究のCRESTが走っています。
平成20年度に開始されたCRESTは3件ありますが、そのうちの1件が小谷元子(東北大学大学院理学研究科教授)をリーダーとする「離散幾何学から提案する新物質創成と物性発現の解明」です。
世界的な材料科学研究拠点である東北大学の特徴を生かして、離散幾何解析学・計算機科学・アルゴリズム論・確率解析に基盤をおいた数学グループと材料科学研究グループがチームを組み、メゾスケールの物性研究に統一的な離散幾何学的研究手法を確立し、新しい数理モデルを提案し、新物質創成につなげることを狙っています。
東北大学は、本学の掲げる「世界リーディング・ユニバーシティへの挑戦」に寄与することが期待される研究プロジェクトを重点戦略支援プログラムとして選定し平成22年度より支援を開始しました。
世界をリードする独創的な研究拠点の形成、本学の持続的発展に資する基盤の形成、政策的・社会的課題解決に貢献するイノベーションの創出が期待される8件が選定されています。
応用数学連携フォーラムが母体となった本提案は、「真に異分野融合的なプロジェクトであり、総合大学としての本学の学術基盤の強化に寄与するもの」として高く評価されました。数理材料科学・数理生命科学・ITコミュニケーション・社会環境システムを重点領域と位置づけて、部局を超えた分野横断的な研究体制を構築し、数学研究の新しい流れを作ってまいります。