数学を使おう!フォーラムで楽しくお話してみませんか?

ワークショップ情報

第27回ワークショップ

【投稿日】2012.4.23

概要

日時: 2012年4月20日㈮ 15:00−17:00
場所: 青葉山キャンパス 情報科学研究科棟 2階大講義室

プログラム内容

15:00−15:50

楯 辰哉 氏(名古屋大学大学院多元数理科学研究科)

講演題目

一次元量子酔歩に対する Plancherel-Rotach 型の漸近公式

内容

量子酔歩とは、1993 年に Aharonov-Davidovich-Zagury により通常の酔歩の量子論的類似物として導入され、その後、量子コンピューティングの世界で再発見された概念である。 定義自身は至って単純であるが、その長時間挙動については、今野紀雄教授による弱極限分布の導出以外には、ほとんど知られていなかった。 この講演の目的は、最近の砂田利一教授との共同研究で得られた、量子酔歩の推移確率の長時間挙動についての結果をご報告することにある。 この結果は、表題にある Plancherel-Rotach の公式という Hermite 関数の漸近挙動についての古典的な公式との類似点を、多く含んでいる。 そこで講演では、まず Plancherel-Rotach の公式とその物理的な意味を解説する。 しかし量子酔歩も酔歩の一種であり、一般に酔歩と Hermite 関数は、直接的な関連性は薄い。 そこで次に古典的な酔歩の種々の極限定理を復習したのち、量子酔歩を導入し、上述の今野教授の定理を説明し、そして主結果を解説する。 主結果の解説により、量子酔歩と Hermite 関数に対する Plancherel-Rotach の公式の、少なくとも漸近解析的な類似性が浮き彫りにされる。 本講演の最後に今後の問題についても議論したい。


15:50−16:10

自由討論


16:10−17:00

瀬川 悦生 氏(東北大学大学院情報科学研究科)

講演題目

量子ウォークの挙動と固有値分布

内容

線形的拡がり(ballistic spreading)と局在化(localalization)と呼ばれる性質は、量子探索などにおける効能を保証すると考えられている量子ウォークの特徴的な性質である. そして様々な量子ウォークモデルが, 線形的拡がりを表す今野関数(2002)と, 局在化を表すデルタ関数の凸結合で表される極限分布により,この相反する性質を共存させていることが証明されている. この発表では, 一次元上の比較的様々な量子ウォークモデルの解析に適用範囲が広いと考えられている, 固有値解析の方法を扱う. そして,量子ウォークの挙動を固有値分布の観点から見たときに, どのようになっているかについて考察する.

ページの先頭へ