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ワークショップ情報

第36回ワークショップ

【投稿日】2013.10.29

概要

日時: 2013年10月29日㈫ 15:00−17:00
場所: 青葉山キャンパス 学際科学フロンティア研究所 大セミナー室
世話人: 瀬川悦生

プログラム内容

15:00−15:50

小布施 秀明 氏 (北海道大学 工学研究院)

講演題目

量子ウォークにおけるトポロジカル相

内容

量子ウォークとは、古典極限においてランダムウォークとなるような量子状態の時間発展現象である。(離散時間)量子ウォークは20年程前から理論研究が開始され、量子情報への応用などの点から研究が行われている。近年、冷却原子・トラップイオン・光ファイバーネットワークなど様々な系で量子ウォークの実験が可能となったことから、幅広い分野から注目を集めている。更に、現在物性物理学ではトポロジカル数で特徴付けられる新しい種類の絶縁体(トポロジカル絶縁体)に関する研究が盛んに行われているが、量子ウォークにも同様に有限のトポロジカル数で特徴付けられる状態が存在することがKitagawaらにより理論[1]・実験[2]的に明らかにされた。本セミナーでは、量子ウォークにおけるトポロジカル相について説明を行い、関係する自身の研究[3,4]についても紹介する。

[1] T. Kitagawa, M. S. Rudner, E. Berg, and E. Demler, PRA 82, 033429 (2010).
[2] T. Kitagawa, M. A. Broome, A. Fedrizzi, M. S. Rudner, E. Berg, I. Kassal, A. Aspuru-Guzik, E. Demler, and A. G. White, Nat. Commun. 3, 882 (2012).
[3] H. Obuse and N. Kawakami, PRB 84, 195139 (2011).
[4] J.K. Asboth and H. Obuse, PRB 88, 121406(R) (2013).


16:10−17:00

松岡 雷士 氏 (広島大学 工学研究科)

講演題目

レーザー分子制御工学と量子ウォーク

内容

レーザーによる分子の回転状態制御の理論への量子ウォークモデルからのアプローチについて紹介する。量子ウォークモデルは量子多準位系上での確率分布の時間発展を平易に記述できる数理モデルである。 この量子ウォークモデルを出発点とすることで、これまで数値計算の結果としてしか議論できなかったレーザー分子制御の問題に対して数理科学的基盤に基づく直観的な理解を得ることができる。 本講演では我々が放射性同位体を分離する目的で進めてきた光パルス列による分子回転励起の理論研究を題材とし、 (1)回転励起過程に現れる連続時間量子ウォーク、(2)パルス位相制御によって実装される離散時間量ウォーク、および (3)実分子における時間発展局在化を評価するための数理モデルについてそれぞれ紹介する。研究の背景となる物理に関しては出来るだけ平易に解説する。

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