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ワークショップ情報

第37回ワークショップ

【投稿日】2013.11.21

概要

日時: 2013年11月20日㈬ 14:00−17:00
場所: 青葉山キャンパス 情報科学研究科棟 2階中講義室
世話人: 瀬川悦生

プログラム内容

14:00−14:50

大槻 久 氏 (総合研究大学院大)

講演題目

社会性と社会ネットワークの共進化動態

内容

社会性の中でも利他性、すなわち自らがコストを支払って他者に利益を与える行動の進化的起源は、協力者が非協力的な相手に協力の利益を一方的に搾取されてしまうために説明が困難であった。近年の研究により、集団内に構造があり社会的な相互作用を限られた相手とのみ行うことができる場合には、利他性は有利になることが分かったきた。しかしながら、社会の構造自体もまた各個体の戦略により時間的に変化する点を忘れてはならない。そこで、個体の持つ社会性と、個体と個体のつながりを表す社会ネットワークがともに進化するという仮定を置き、その共進化動態を調べた。個体は協力者もしくは非協力者に分類される。また、各個体は他個体と重みづけられた辺で結ばれており、その重みが社会的相互作用の強度を表す。個体の性質とネットワークの重みが同時に進化できる時に、どのような結果がもたらされるか調べた。その結果、動学は二つの進化の時間スケールの比に強く依存し、ネットワークの重みのほうが相対的に速く進化する場合に協力が進化する事が分かった。また、その時各個体が受け取る重みは指数分布に従うことが示された。


15:00−15:50

関口 卓也 氏 (日本学術振興会/総合研究大学院大学)

講演題目

集合的意思決定の精度に関する数理モデル

内容

個人の能力がそれほど高くなくても、集団で意思決定した場合の帰結が、個人のそれよりも精度が高い場合がある。このような現象を捉えるにあたって有効な出発点として、コンドルセの陪審定理がある。この定理によれば、相互に独立して意思決定する個人が二者択一の問題に対して0.5より大きい確率で正答できる場合、多数決を採った集団の意思決定が正答である確率は集団サイズの増加関数になる。ただし、この定理の仮定はかなり単純なものであり、集合的意思決定についての理解を深めるには、更なる拡張が求められる。 そこで本講演では、陪審定理を様々な観点から拡張した講演者らによる研究成果を報告したい。具体的には、以下の3つの論点を扱う予定である。第一に、集団が対峙している複数の議題が論理学的に結合している場合、第二に、個人間で社会的相互作用がある場合、第三に、集団を下位集団に分割し、各下位集団に異なる作業を分業させる場合である。


16:10−17:00

瀧川 裕貴 氏 (東北大学国際高等研究教育機構学際科学フロンティア研究所 助教)

講演題目

社会的地位階層制の生成メカニズム

内容

人間社会の集団では、その成員間でしばしば上下関係を伴う社会的地位の分化が生じることが知られている.そこでは上位の成員と会の成員の間で権力や資源について大きな格差が存在する.このような地位階層制の実態およびその生成メカニズムの解明は社会学の中心的な課題の一つである.本講演では、R.Gouldの提出したモデルを拡張し、ゲーム理論と社会ネットワーク理論を用いて地位階層制の生成メカニズムを明らかにする.特に、本講演では、従来とは異なり、複数の相手への戦略を同時的に考慮する多次元的戦略を基礎にしたモデルを提案する.モデルの解析の主要な結果は次の通りである.
(1) 社会的地位の全体的パタンが多次元的戦略をもとにしたNash均衡によって説明可能である.
(2) 社会的地位の決定メカニズムがシステム内個人の相対的能力の程度によって定まる.

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