数学を使おう!フォーラムで楽しくお話してみませんか?

ワークショップ情報

第40回ワークショップ

【投稿日】2014.4.24

概要

日時: 2014年4月24日㈭ 15:00−17:00
場所: 青葉山キャンパス 情報科学研究科棟 2階大講義室
世話人: 瀬川悦生

プログラム内容

15:00−15:50

中村 光宏 氏(総合研究大学院大学)

講演題目

間接互恵性と「赤の王」効果—監視者・情報利用者相利共生の促進

内容

コストを負って他個体を利する協力行動の促進・維持は,生物種を越えて普遍的な問題である。ヒトの協力行動を説明するメカニズムのひとつとして間接互恵性がある。間接互恵性では,協力した個体の社会的評価(評判)が上がり,後に他個体から協力されることによって協力が維持される。したがって,行動の監視と評判情報の管理が重要となるが,個体数が多い場合等それ自体がコストであり,他個体の持つ情報へのタダ乗りの誘因が生じる。ひとつの解決方法として,情報利用者による監視者への報償が考えられる。本研究では,間接互恵性において,そのような情報利用者と監視者とふたつの集団間での共進化ゲームダイナミクスを調べた。その結果,監視が十分で協力的な均衡へと至るのに重要なのは,ふたつの集団の進化の時間スケールの差—情報利用者の進化が相対的に遅いこと—であることが分かった。生物進化は軍拡競争であり,進化の速い種が有利であるとする赤の女王仮説に対して,共生系では共生者に対してホストの進化が遅い場合にホストが有利となることがある。これは「赤の王」効果(Red King effect)と呼ばれる。上記の結果はその一例である。


16:10−17:00

岩崎 祥一 氏(東北大学大学院情報科学研究科)

講演題目

数式はどこまで世界を記述しているか

内容

外部世界と認識(知覚)との関係は、完全ではないことが知られている。これは、視覚では錯視という現象で顕著に表れる。では、科学的認識はどこまで世界を忠実に記述しているのだろうか。ここでは、その点についての考えを紹介したい。世界を記述する様式には3種類あると考える。それは、言語、数式、それにシミュレーションである。このうち、言語には固有の記述の限界があることが知られている。物理世界の数式による記述に関しては、ここでは、数式が記述する領域と現実の現象の領域の対応がちょうどぴったり対応している(ゴルディロック性を満たしている)かどうかについて、ゼノンのパラドックスと時間の矢を例に考えてみたい。さらに、シミュレーションについては、確率的記述とその特定のケースの関係から、シミュレーションの記述は、我々の住むこの世界における事象の展開を記述しているとは言えないのではないか、と論じたい。

ページの先頭へ