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ワークショップ情報

第43回ワークショップ

【投稿日】2014.10.15

概要

日時: 2014年10月15日㈬ 15:00−17:50
場所: 青葉山キャンパス 情報科学研究科棟 2階大講義室
世話人: 中澤嵩

プログラム内容

15:00−15:50

小林 康明 氏(北海道大学電子科学研究所)

講演題目

ノイズのある2振動子系のリエントラント転移

内容

ペースメーカーとランダムノイズの影響下にある振動子を考えたとき,ペースメーカーとの結合が弱いとダイナミクスはノイズに支配されるが,結合を強くしていくと位相同期が見られるようになるのはよく知られている。結合強度が大きいほど早く同期状態に収束するので,結合強度は大きいほど良いように思われるが,実際には結合強度をさらに強くすると脱同期が見られる場合がある。 本講演では,一見直感に反するこのような転移がリミットサイクル振動子の結合系で実際に見られることを確認した後,同様の現象を起こす位相振動子のミニマルモデルを提示し,解析を行う。とくにリエントラント領域の転移線を理論的に説明できることを示す。ネットワーク結合系における同様の転移についても議論する。


16:00−16:50

井元 佑介 氏(九州大学大学院数理学府)

講演題目

Poisson方程式に対する粒子法の誤差評価

内容

SPH法やMPS法に代表される粒子法は, 特に津波のような移動境界を持つ流れを再現する数値計算手法の一つとして, 現在幅広く利用されている.一方で, 近似解の誤差評価といった数学的正当化が十分に行われておらず,現在もその成果が待たれている. そこで我々は, 粒子法の誤差評価の第一ステップとして,Poisson方程式に対するあるクラスの粒子法を提案し,その誤差評価を得たので紹介する.我々の提案する粒子法は,SPH法やMPS法を含むだけでなく,従来は用いられなかった重み関数も利用できるなどの特徴を持つ. 誤差評価では, 我々が新たに導入した粒子法に用いる粒子分布の正則性と接続性が重要な鍵となる.これらの性質を持った粒子分布の下で, 近似解の誤差が重み関数の影響半径に関して2乗収束することを示す.また数値実験で得られた誤差の収束次数が,数学的に得られたものと一致することを紹介する. さらに実際の数値計算において, 重み関数の選択が誤差へ及ぼす影響についても紹介する.


17:00−17:50

佐々木 多希子 氏(東京大学数理科学研究科)

講演題目

非線形偏微分方程式の差分解の爆発について

内容

非線形偏微分方程式の解が爆発する場合,その爆発時刻を求めることや,爆発時時刻付近での解の挙動の研究は非常に重要であり,これらを数値的に求める手法が研究されている. しかし,それらの多くは,数値解がある時間で急激に増大していることを数値実験でのみ確認しており,厳密な意味での解の爆発との関係は分かっていないことが多い. 1970年代にある熱方程式に対して,数値爆発時刻の厳密な爆発時刻への収束性が保証された数値解法が研究された.また,近年,波動方程式に対しても,数値爆発時刻の厳密な爆発時刻への収束性が保証された数値解法が研究された.我々は熱方程式や波動方程式に対する成果を取り入れて,あるシュレディンガー方程式に対して,解の爆発を数値的に厳密に再現する数値解法を構築することができた. 本講演では,熱方程式の,数値爆発時刻の厳密な爆発時刻への収束性が保証された数値解法について,また波動方程式やシュレディンガー方程式への応用について紹介する.

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