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ワークショップ情報

第46回ワークショップ

【投稿日】2015.1.26

概要

日時: 2015年1月26日㈪ 15:00−17:00
場所: 青葉山キャンパス 情報科学研究科棟 2階大講義室
世話人: 原田昌晃

プログラム内容

15:00−15:50

坂上 貴之 氏(京都大学理学研究科)

講演題目

二次元ハミルトンベクトル場のグラフ表現とその応用

内容

二次元多重連結領域内におけるハミルトンベクトル場に対する,ハミルトニアンの等高線(流線)の位相構造を考える.特に微小摂動によっても,流線の位相構造を変えない構造安定なものを考え,それに対して一対一に対応するグラフ表現が存在することを示す.構造安定な二次元ハミルトンベクトル場の流線の位相的分類理論については,講演者らが固有の語表現が存在することを示しているが,語表現と流線構造の対応は一対多であるため,その表現力は限定的であるという問題があったが,グラフ表現によりその問題は解決される.それのみならず,語表現やグラフ表現をうまく組み合わせて使うことによりよりハミルトンベクトル場の分類や構造不安定な流れを通した遷移などがすべて記述できるようになる.これらの応用として二次元の非圧縮流れを考え,流れの時間発展の文字列やグラフによる記述が可能になることを示す.連続的な流れ場の情報が離散的な情報として縮約されることで得られるメリットについて説明すると同時に,この離散的な特徴づけを通して期待できる離散数学の理論からフィードバックの可能性についてフォーラムの参加者と議論したい.本講演は京都教育大学の横山知郎准教授と共同研究に基づくものである.


16:10−17:00

横山 知郎 氏(京都教育大学)

講演題目

ミンコフスキー時空内の相対論的helicityと絡み目

内容

helicityは3次元空間内の流体の絡み具合を表す量である.4次元Minkowski時空における相対論的helicityという概念も定式化されている.しかし,時空の歪みにより,古典的なhelicity保存則は破られる事が知られている.そこで,順圧流体内において保たれるような新しい相対論的helicityを定めた.特に,helicityと渦糸のトポロジーの関係は,渦糸(Banach環の純粋状態)の絡み目を使って記述できる.具体的には,相対論的helicityは,渦糸の絡み目の定める2-chainを固有時間断面でスライスして得られる絡み目の絡み数を測っている.一般に,4次元空間内では絡み目はほどけてしまうが,2-形式である渦度は2-chainに対応するので,順圧流体内の渦糸の絡み目は4次元時空間内でもほどけない.すなわち,基準時間断面では渦糸の絡み目は保存されないが,固有時間断面では渦糸の絡み目は保存される.本講演は,東大新領域の吉田善章氏と川面洋平氏との共同研究に基づく.

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