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ワークショップ情報

第63回ワークショップ

【投稿日】2017.06.29

概要

日時: 2017年6月29日㈭ 16:30–17:30
場所: 青葉山キャンパス 情報科学研究科棟 2階大講義室
備考: 情報科学研究科研究科重点プロジェクト「数学と諸分野の協働推進による学際的・総合的な新領域研究の開拓」第16回講演会を兼ねています。

プログラム内容

16:30–17:30

飯田 渓太 氏 (東北大学 東北メディカル・メガバンク機構, 大学院医学系研究科)

講演題目

遺伝子発現系の数理モデリング ~確率論と決定論の視点から~

概略

遺伝子発現とはDNA情報からタンパク質が合成される過程である。この原理は1950年代に提唱されたが、一方でその発現量に関しては法則性が確立していない。定量的な遺伝子発現解析は従来さまざまなアプローチが試みられているが、未だに決定的な方法が見つかっていない。一方、21世紀のシステム生物学は複雑な細胞内分子ネットワークの構造を明らかにしてきたが、遺伝子発現ネットワーク上のダイナミクスについては、ゆらぎを「平均化」して無視するという単純化がしばしば行われており、その解釈については疑問が残っている。この問題に対し、タンパク質の生成崩壊の過程をMarkovモデルを用いて表し、確率分布をマスター方程式から計算する方法が提唱されているが、一般にマスター方程式は解析が難しく、非常に単純なモデルであっても解析解が求まらない場合が多い(転写、翻訳のtwo-stage modelなど)。今回は、遺伝子発現ネットワークのモジュールとなる基本数理モデルを新規に提案し、その解析解を導出する。また、我々の提唱するモデル方程式が1細胞からN細胞の平均化モデルまで広範囲に適用できることを示す。さ らに、この1細胞モデルと平均化モデルは本質的に異なるものであることを明らかにし、実験で得られる発現量のアンサンブル平均に決定論的モデルを当てはめることの危険性を示唆する。

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