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ワークショップ情報

第72回ワークショップ

【投稿日】2019.02.07

概要

日時: 2019年2月5日㈫ 15:00–16:00
場所: 青葉山キャンパス 情報科学研究科棟 2階大講義室
備考: 情報科学研究科研究科重点プロジェクト「数学と諸分野の協働推進による学際的・総合的な新領域研究の開拓」第25回講演会を兼ねています。

プログラム内容

15:00–16:00

林 正人 氏 (名古屋大学)

講演題目

測定型量子計算による量子計算の検証

概略

量子計算はこれまでの従来型の古典計算機の性能を上回るものとして,期待されている.しかしながら,できあがった量子計算機の構成要素にエラーがあると,正しい計算結果は得られない.そのため,量子計算機が正しく実装されているか検証することは,実用上不可欠である.計算したい問題がNPに属する場合は,古典計算機でその正しさを検証することができるが,NPに属さない問題を解く場合には,この方法が使えないので,量子計算機が正しく実装されているか検証する必要がある.もちろん,個別の回路が正しく実装されれば,計算結果は正しく得られる.個々の回路でのエラーが想定される範囲であれば,誤り訂正によって訂正することは可能である.しかし,エラーに予期せぬ相関が生じ,全体で想定外のエラーが起きる可能性は否定できないので,そのような事態に備えて,本当に回路全体で正しく量子計算機が動作したか検証する必要がある.しかし,計算結果がわからないから計算を行うため,計算結果を以って,計算結果の正しさを検証することは困難である.本講演では,このような問題を避けるために,測定型量子計算のモデルに注目する.測定型量子計算のモデルでは,全体の形が確定した巨大なエンタングル状態と個別の系の量子測定の組み合わせを用いて計算を行う.個別の量子測定と巨大なエンタングル状態が正しく実装されれば,正しい計算結果が得られるため,これらの構成要素が正しく実装されているか検証することで,測定型量子計算のモデルでの検証が可能となる.主に以下の3つの設定について議論する.(1)個別の局所測定はノイズなしに実装でき,巨大なエンタングル状態のみ検証が必要な場合.(2)個別の局所測定はノイズがあるものそのノイズは一定の範囲に収まる範囲で実装でき,巨大なエンタングル状態のみ検証が必要な場合.(誤り訂正を組み合わせることで,エンタングル状態および測定の双方に一定の範囲のエラーを許す.)(3)個別の局所測定及び巨大なエンタングル状態の双方を検証する必要な場合.(エンタングル状態および測定の双方に一定の範囲のエラーを許さない.)近年では,これらの設定において,様々な派生バージョンが議論されており,それらについても紹介する予定である。

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