講演会

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数学と諸分野の協働に関する「講演会」を定期開催し、 研究科内の諸分野と数学の双方向の協働を進める場 および異分野研究者の出会いの場を提供する。

第12回講演会[NEW!]

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日程:2017年3月7日(火)16:30~17:30
会場:東北大学 情報科学研究科棟 大講義室
講演者:富安亮子(山形大学理学部/ JST さきがけ)
タイトル:格子とその結晶学への応用
概要:結晶学は固体物質のミクロ構造の情報をどのように得て処理するかという観測の問題を 扱う分野で、実験物理と、各実験装置に付属するデータ解析(最適化、ときに第一原理 計算まで含む)ソフトウェアアプリケーションがその基盤を支えている。数学上の意味で 困難な問題も存在することから、計算面において様々なアプローチがこれまでになされ てきたが、情報科学分野との連携はまだ発展途上と言える。数学分野との連携について は、およそ100年前に結晶学が創始されて以来、格子パラメータを記述するために格子 基底簡約理論が、消滅則を記述するために結晶群に関わる群論が導入されたなど数多 くの事例があり、この他の事例については割愛するが、結晶群の記法において、一つの 空間群に対して複数の記号が対応してしまうという問題を解決するため、新しい記法が Conway, Thurstonらによって提案されたのは近年のことである。この事例が示すように、 この分野では解析・ソフトウェアアプリケーションにおける障害として、数学としては基本 的な(でも新しい)問題が残っていることがある。 今回は主に消滅則の話である。230通りの空間群に対して、およそ1700通りの消滅則が 発生するが、コードを書く際にそんなにたくさんの場合分けはできないので「この消滅則 に共通する性質は何か?」という問題が発生する。消滅則は、数学的に言えば、multiple invariant theoryの問題とも言えるが、この分野を牽引したHilbertの第14問題と、必要とさ れている「性質」の間の距離は遠く、そこで、異なるタイプの「定理」を計算によって見つけ てきた、というのが、得られた結果の趣旨である。この話が、整数論の結果とも絡めて 「格子ベクトル長さの情報から格子を決定する(粉末指数付け)」という問題に応用される。 定理自体は、電子顕微鏡など、消滅則に関わる一般的な問題に使用することができる。

第11回講演会[NEW!]

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日程:2017年3月6日(月)15:30~16:30
会場:東北大学 情報科学研究科棟 中講義室
講演者:林 直樹 (大阪大学大学院工学研究科)
タイトル:代数的グラフ理論に基づく マルチエージェントシステムの制御と分散最適化
概要:情報通信技術の進展により、ネットワークを介してサブシステムが有機的に結 合した大規模システムを分散的に制御する手法の重要性が増している。このよ うなネットワーク化されたシステムをうまく制御するためには、サブシステム間の 相互作用を考慮した数理的アプローチが必要である。近年、制御工学の分野 では、このようなネットワーク化されたシステムの分散制御法として、代数的グ ラフ理論に基づくマルチエージェントシステムの制御が注目され、ビークル群の 編隊形成や動物の群れ行動の解析、センサネットワーク、スマートグリッドへの 応用などに関する研究が活発にされている。マルチエージェントシステムの最も 基本的な制御法として、合意制御が挙げられる。合意制御とは、エージェント間 の情報伝達を通して全てのエージェントの状態をある値(合意値)に漸近的に 一致させる制御法であり、ネットワークの構造と合意値や収束速度との間には 密接な関係があることが知られている。本講演では、代数的グラフ理論の観点 から、マルチエージェントシステムの合意制御やその分散最適化への応用につ いて紹介する。

第10回講演会[NEW!]

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日程:2017年3月6日(月)14:20~15:20
会場:東北大学 情報科学研究科棟 中講義室
講演者:木村 元 (芝浦工業大学システム理工学部)
タイトル:一般確率論上の情報理論について
概要: 一般確率論(General Probabilistic Theories)とは,古典確率や量子論を 包含する操作主義的に最も一般的な確率論の枠組みである .von Neumannの量子論の数学的特徴付けに端を発し,1960年代からMackey やArakiらによって整備され発展したものである.他方,近年の量子情報 科学の発展に呼応するように,一般確率論を土台とする情報理論を構築 する試みが世界的にすすめられている.これは,古典情報理論及び量子 情報理論を含む「操作主義的に最も一般的な情報理論」であると考えられ, この研究により情報処理や物理法則の間の連関性を理解し,情報の本質 を捉えることができると期待されている. 本講演では,一般確率論の簡単なレビューに加え,情報理論の基礎概念 であるエントロピーの導入や,通信や暗号理論の基礎となる「情報取得量 の限界」や「情報源符号化定理」に関し,最近の我々の成果について紹介 する.

第9回講演会[NEW!]

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日程:2017年2月24日(金)16:30~17:30
会場:東北大学 情報科学研究科棟 大講義室
講演者:佐野 吉彦(静岡大学 工学部)
タイトル:局所体積平均理論に基づく多孔質機器の設計
概要:従来、微細な構造体が複数集まった多孔質体の工業製品は、 熱交換器・触媒・燃料電池など工学・産業界等で幅広く活用されて きた。このような多孔質体の特徴は、一般的に機器サイズ(マクロ スケール)と構造物サイズ(ミクロスケール)に大きな隔たりがある ことである。更に、微細構造が周期性を有するときもあれば、ランダム な配置のときもあり、その形状や配列により機器の性能は大きく左右 される。機器の開発現場では,主に数値シミュレーションに基づき 機器の最適設計を行うが、その際、両スケールの物理現象を連成 させる必要があり、実用性の高い連成手法が要求されている。 本講演では、マルチスケール・マルチフィジクス現象を記述 するために、工学で発展した局所体積平均理論を紹介する。 講演者の研究テーマから、熱・物質移動現象を例に、ミクロ とマクロの物理現象について説明していく。

第8回講演会[NEW!]

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日程:2017年2月23日(木)15:10~16:10
会場:東北大学 情報科学研究科棟 大講義室
講演者:井上 歩(愛知教育大学 数学教育講座)
タイトル:対象を代数化することで見えてくる世界 (紐の絡まりを表現する方法)
概要: 近年、高分子といった複雑な構造を代数化して、その構造や 性質を解析するという手法(パーシステントホモロジー)が 脚光を浴びている。このように対象を代数的に表して解析する ことは、今後の科学の発展にも重要な手法と言える。そこで 本講演では、紐の絡まりを対象として、これがカンドルという 代数で表現できることを紹介する。紐状の物質の絡まりは DNA やタンパク質構造といった形で自然界に遍在しており、この 代数化はこれらの研究にも応用が期待できる。例えば、 絡まった紐をカンドルとして表すことで、そのキラル性を簡潔に 表現することができる。また本講演では、絡まった紐から どのような思考を経てカンドルという代数を想起するのか、 その仕組みについても解説する。

第7回講演会(終了しました)

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日程:2017年2月16日(木)16:30~17:30
会場:東北大学 情報科学研究科棟 大講義室
講演者:横山 啓一(日本原子力研究開発機構)
タイトル:量子ウォークを用いた同位体分離スキームと 放射性廃棄物無害化技術への応用
概要:原発から発生した放射性廃棄物の無害化を目指して、 中性子照射による長寿命核種の核変換が検討され ている。しかし、核種によっては今までにない精密な 同位体分離が必要となるため、効率の良い分離原理 が望まれている。 我々は、分子集団の回転状態分布に着目した時、あ る種の光吸収により回転角運動量空間で量子拡散 が実装されることを見出した。量子ウォークが持つ線 形拡散と局在化の性質により、従来より遥かに精密 な同位体分離を実現できる可能性が出てきた。講演 では今後の課題と発展性についても紹介したい。

第6回講演会(終了しました)

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日程:2017年2月8日(水)16:30~17:30
会場:東北大学 情報科学研究科棟 中講義室
講演者:鈴木 厚(大阪大学サイバーメディアセンター)
タイトル:大規模疎行列の並列直接法解法とFreeFem++ソフトウェアでの活用
概要:偏微分方程式を有限要素法で離散化すると、大規模な疎行列からなる連立方程式系が 得られる。その解法にはLU分解に代表される直接法と共役勾配法に代表される反復法 がある。反復法は計算複雑さが小さく、主たる演算である行列とベクトルの積演算が並列 計算に適するが、非対称性が強い場合や不定値の場合には適切な前処理と組み合わせ る必要がある。一方直接法は堅牢な解法であるが逐次演算であること、計算複雑さが大 きいため、大規模行列を扱うことは難しかった。しかし、 変数の順序の並べ替えと非零成 分のグラフ分割により、複数の箇所から分解を開始することと部分的な密行列演算操作 の抽出により、現代のスーパースカラー型のマルチコアCPUシステムで高い演算性能を得 ることが可能になってきている。数学的な問題は、有限要素法剛性行列は対称な非零要 素パターンを持つため、行列の左右から同一の置換をほどこす対称軸選択が効率的であ るが、不定値行列の場合はLU分解が途中で破綻する可能性があることである。分解途中 の部分行列の対角成分が極端に小さくなった場合、LU分解操作を先送りすること、対角 を2x2のブロックとして扱うことでこの問題を回避することができる。開発した Dissection コードは更に行列が特異な場合、核の次元を数値的に決定するアルゴリズムを含む。 FreeFem++ は有限要素法の弱形式を直接記述するスクリプト言語を持つ汎用プログラム であり、三角形あるいは四面体要素分割の上での種々の有限要素空間を設定し、剛性 行列を生成できる。不定値行列を導く混合型有限要素法の代表例である、非圧縮流れ問 題、静磁場問題、半導体問題でのDissectionコードの有効性を示す。二次元問題では、 スーパースカラーCPUに最適化した直接法は反復法より高速であり、100万自由度を超え る大規模な3次元問題では、領域分割と組み合わせ効率的な前処理を構成することがで きる。

第5回講演会(終了しました)

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日程:2017年2月8日(水)15:20~16:20
会場:東北大学 情報科学研究科棟 中講義室
講演者:大塚 厚二(広島国際学院大学)
タイトル:Programming by FreeFem++ and its application to shape optimization
概要:数理モデルの研究では数学的妥当性の下で、モデリング・連続体定式化・ 離散化・数値計算・可視化といった一連の流れが必要となる。一連の流れを シームレスに扱うツールが欲しくなり、1994 年ごろにパリ第6大学のO. Pironneau教授とF. Hecht教授によるFreeFEMプロジェクトを知った。シーム レスに扱う方法は数理研究者に役立つと考えて「有限要素法で学ぶ現象と 数理」を著した。第1章が連続体定式化、第2・3章が単独方程式の離散化・ 数値計算・可視化、第4章で連続体、第5章では反応拡散に応用し、最後が 数学理論との対応になっている。講演では、第4章2節の固体力学までにつ いてFreeFem++を使う研究方法をサンプルで示し、最後に、筆者の研究テー マである「偏微分方程式境界値問題における特異点集合の形状最適化」へ の応用について紹介する。本を持たない聴衆のため、下記サイトに資料を 用意しておく。 http://www.comfos.org/jp/ffempp/book/course

第4回講演会(終了しました)

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日程:2017年1月27日(金)16:30~17:30
会場:東北大学 情報科学研究科棟 大講義室
講演者:藤原 祐一郎(千葉大学大学院融合科学研究科)
タイトル:Reverse-complement対応型difference systems of setsとそのDNAストレージへの応用
概要: 有限巡回群の部分集合族のうち,ある種の組合せ的条件を満たすものとして, difference systems of sets (DDS) というものがある.DSSは本来,情報通信に おける同期問題を解決するための組合せ構造として提案されたが,以後,純粋に 組合せ論の観点からも,その存在性などが研究されてきた. 本講演では,reverse-complement DSSという,DNAに情報を記録する仕組みに有用な DSSの変種を提案し,その組合せ論的構成法などを紹介する.

第3回講演会(終了しました)

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日程:2017年1月11日(水)16:30~17:30
会場:東北大学 情報科学研究科棟 大講義室
講演者:坂上 貴之(京都大学大学院理学研究科・教授)
タイトル:応用複素関数論による流体数理コンセプトモデルと諸分野連携
概要: 二次元非粘性・非圧縮流体が正則関数と等価であ ることは,はるか100年以上も前から知られた古典的事実 であり,当時の翼理論などに代表される工学的な諸問題 の多くは複素関数論を通して本質的な理解が進められて きた.京コンピュータに代表される大規模数値計算が利 用可能な現代にあって,こうしたいわゆる「素朴すぎる」 とも言える数理モデルにはもはや解決できるような課題 はないのだろうか?確かに工学的に流体運動を記述する 偏微分方程式などが明確な問題であれば,それを数値計 算で解けば定量的な近似値は得られるが,我々はその対 象となる問題がこれまでに扱われなかった,例えば環境 や生命現象に関わるものであるような場合,依然として 定性的側面や本質的なメカニズムの理解においてこうし た素朴な流体モデルは我々に教えてくれることは多い. 同時に,こうした古典的な重要性に鑑みて100年以上前に スタートした複素関数論の応用数学研究が長い時を経て 他の数学分野の発展や計算機などとのつながりを得て日 々進歩し,現在,新しい応用研究の萌芽として再発見さ れつつある.本講演では,講演者がJST さきがけやCREST から始まり現在に続く一連の研究を紹介し,数学と諸分 野について,数学者の立場としての連携のあり方,また これらのモチベーションが新しい数学としての研究対象 を生み出す協調関係につながるかどうかの可能性などに ついて,参加者の皆さんと議論できればと考えている.

第2回講演会(終了しました)

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日程:2016年12月22日(木)16:30~17:30
会場:東北大学 情報科学研究科棟 中講義室
講演者:丸橋弘治(株式会社富士通研究所・知識情報処理研究所・人工知能研究センター・シニアリサーチャー)
タイトル:テンソル分解を用いた大規模実データ分析
概要: ネットワーク通信ログやWebアクセスログ、POSデータといった、人や機器などの要素間関係を記録したデータから、 不正行為などを発見することが、セキュリティやマーケティングなどの分野で求められている。本講演では、要素間関係を 表すデータをテンソルとみなし、テンソル分解を用いて要素間関係の分布をモデル化することにより、特徴的な要素間関係 を検知する、いくつかの事例を紹介する。また、近年注目を浴びているDeep Learningを応用した、要素間関係分析の試みも紹介する。

第1回講演会(終了しました)

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日程:2016年12月8日(木)16:30~17:30
会場:東北大学 情報科学研究科棟 大講義室
講演者:池村淑道(長浜バイオ大学客員・名誉教授、国立遺伝学研究所・総合研究大学院大学名誉教授)
タイトル:ゲノムビッグデータからの教師なし学習による想定外知識発見と社会的重要課題への応用
概要:ゲノム配列を代表例とする、生命科学分野の多様な測定データはビッグデータ化しており、そこにどの様な興味深い新知識が潜んでいるのかは想像することすら困難と思える。 この様な状況下では、モデルや仮説や予備知識なしにビッグデータを研究できる「教師なし機械学習」が威力を発揮する。ゲノム配列はATGCの4種類の文字で構成される長文と言える が、その文章中の連続文字列(例えば5連や6連、あるいは20連続文字)についての「ワードカウントに着目した機械学習」を行ってきた。ワードカウントのような理解しやすい解析 を行うことでも、想定外の多様な知識発見が可能になる。20連文字を対象にした場合、約一兆一千億($=4^{20}$) 次元のデータ解析となり、スパースな大量データ解析となる。「コンピュータでエボラやインフルエンザウイルスの弱みを探る」 等の社会的に重要な課題への応用も可能になっている。

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