数学教室のご案内

修了生からのメッセージ

  • 遠藤 あゆみ(平成26年3月 博士課程前期2年の課程修了)
  • 平沼 直樹(平成24年3月 博士課程前期2年の課程修了)
  • 落合 みさき(平成24年3月 博士課程前期2年の課程修了)
  • 梶谷 美帆(平成24年3月 博士課程前期2年の課程修了)
  • 宮本 利恵平成22年3月 博士課程前期2年の課程修了)
  • 大野 博道(信州大学工学部准教授; 平成17年3月 博士課程後期3年の課程修了)
  遠藤 あゆみ(平成26年3月 博士課程前期2年の課程修了)
遠藤 あゆみ

私は、東北学院大学教養学部情報科学科から、博士前期課程(システム情報数理学Ⅰ)に入学しました。現在は宮城県の高校で教壇に立っています。日々様々な課題と直面しながらも、充実した幸せな教員生活を送っています。

私は、子どもたちに日常生活との関係性を重視した数学を指導したいと考え、大学院進学を決めましたが、実際に日々の授業などの教育活動において、大学院で学んだ数学の専門性を生かせることはほとんどありません。しかし、大学院で身に付けた「物事を徹底的に追求する」「物事を多角的に考察する」という姿勢は、私の教員生活の大きな支えになっています。例えば、教科書1ページの指導をするにあたっても、教科書や指導書だけではなく、様々な文献や様々な意見を取り入れ、徹底的に授業構成を研究します。また、様々な角度から子どもたちを観察し、思いこみや先入観で指導に当たらないように日々心がけています。これらは、大学院のゼミで身につけた習慣そのものです。このように間接的ではありますが、大学院で学んだことは、確実に今も私の中で息ついています。

大学で数学を本格的に学んでこなかった私にとって、大学院での数学専攻は覚悟のいる挑戦でした。思っていた以上に研究はレベルが高いもので、何度投げ出してしまおうと思ったことか、数えきれません。しかし、様々な談話会や充実した設備、何より厳しくも親身になって指導をしてくださった先生方や、いつでも相談に乗ってくださった先輩やスタッフの皆様のおかげで無事に修了することができました。今では、涙を流しながら一晩中机に向かった経験はかけがえのない私の財産です。

大学院進学を悩んでいる皆さんへ。東北大学情報科学研究科数学教室には、あなたの志を尊重し、支えてくれる先生方やスタッフの皆さんがいつでもあなたをあたたかく迎えてくれます。研究者を目指している人にとっても、修了後就職・教員を目指している人にとっても、きっと数学教室で学びを育むことは、今後の人生において大きな糧となるでしょう。自分の可能性を信じ、是非一歩踏み出してみて下さい。

  平沼 直樹(平成24年3月 博士課程前期2年の課程修了)
平沼 直樹

私は2012年に東北大学大学院情報科学研究科数学教室で博士前期課程(修士課程)を修了し、本稿執筆現在は生命保険会社で総合職員として勤務しています。

私は数学教室に在籍していた2年間、複素解析学を勉強・研究していましたが、残念ながら大学院での研究内容が現在の職業に直接役立っていることは全くありません。しかしながら、数学を勉強・研究をしている過程で培われた「論理的思考能力」「具体的な事象を抽象化する能力」は、物事をわかりやすく説明する上でとても重要となり、優秀な上司ほどこの能力が秀でていると感じます。これらの能力はただ数学を学ぶだけで培われるものではなく、環境が育んでくれるものだと思います。

情報科学研究科数学教室には日本でも有数の素晴らしい研究環境が整っています。院生全員に研究スペース(ブース)が与えられており、研究には欠かすことのできない図書も充実しているなどの設備面はもちろんのこと、世界的にも有名で、その専門分野を牽引しておられる先生方が数多く在籍されており、日々の講義やゼミなどで時代の最先端をいく研究にふれることができます。また、院生室は大部屋になっており、優秀な先輩方との活発な議論を通じて、自分とは異なる考え方を吸収することができ、知識の幅が広がり、とても有意義な時間を過ごすことができました。

また、私は数多くの研究集会に参加させていただき、自分の研究内容について発表する機会を与えていただきました。さらには、研究内容を論文にして投稿することができ、世の中に自分が数学を研究していたという証を目に見える形で残すことができ、私にとってのかけがえのない財産となっています。

この素晴らしい環境に身をおき、真剣に数学と向き合う時間をつくることは、研究者を目指す者にとっても、修了後就職を考えている者にとっても、よい時間になることは間違いありません。数学を勉強・研究していると、いつしか壁にぶちあたると思います。情報科学研究科数学教室にはその壁を乗り越えるために必要になるもの全てが揃っています。

  落合 みさき(平成24年3月 博士課程前期2年の課程修了)
落合 みさき

私は2012年に東北大学大学院情報科学研究科数学教室で博士前期課程を修了し、現在はJR東日本のシステムエンジニアとして勤務しております。私は津田塾大学数学科を卒業後、芥川和雄教授のご指導のもと、モース理論を学ばせていただきました。研究室訪問やオープンキャンパスに伺った際に、教授をはじめとする数学教室の方々が非常に温かく迎えてくださり、また、充実した蔵書類や広々とした研究スペースに惹かれこちらに進学することを決意しました。

大学院生活を振り返ってみますと、実に充実しており、得るものが非常に多くありました。指導教諭の芥川先生には心より感謝しております。毎回のセミナーでは、一週間自習をした範囲の中でわからなかった部分を丁寧に解説していただき、そこに付随する知識を深く掘り下げて、ご教授いただきました。また、中間発表や修士論文発表前には沢山のお時間を割いてくださり、様々なアドバイスや発表練習もしていただきました。私は大学時代には整数論を中心に学んでおり、位相幾何学に対する知識は十分ではありませんでしたが、芥川先生は、その楽しさや奥の深さも教えてくださいました。数学の研究から培った『じっくりと物事を考え抜く力』や『抽象的なことでもわかりやすく相手に説明する力』は現在の業務において、資料を作成したり、お客様と打ち合わせをする際などに役立っています。

優秀な教授陣や整った研究環境に加え、数学教室のもう一つの魅力として、個性豊かで思いやりのある先輩や同期の方々があげられます。数学をこよなく愛し、研究に熱心な人々に囲まれると、自分も自然と探究心や向上心が刺激されるものです。疑問が生まれたときには、先輩方は心強い味方になってくれましたし、研究で行き詰まったり、就職のことで悩んでいる時には、励まし、支えてくれる同期がいました。ここで出会った素敵な仲間は、この先も私の人生を豊かにしてくれると思います。

東北大学情報科学研究科数学教室は、求める者には限りなく与えてくれる場です。このような恵まれた環境の中で過ごせる2年間は、人生の中でも貴重な経験になることでしょう。ぜひ、みなさんも、数学教室の扉をたたき、自分の可能性に挑戦してみてください!

  梶谷 美帆(平成24年3月 博士課程前期2年の課程修了)

こんにちは。私は2012年に博士前期課程を修了し、ソフトウェアエンジニアとして働いています。 少しばかり、私の東北大情報科学研究科数学教室での学生生活の話ををいたします。

毎日朝から晩まで大学で過ごしましたが、とても研究がしやすかったように思います。

まず、文献で困ったことはありませんでした。 あの本が学内に無いとか、あの雑誌が読めないといったことが無く、 下の階にある数学教室図書館や理学部・工学部の図書館に行けば、すぐに手に入れることができます。

相談できる人がすぐ近くにいるのも、私にとってはありがたい事でした。 院生室は修士過程の学生だけでなく、博士課程の学生や研究員の方も、共同の部屋を使用しています。 色々な方と気軽にディスカッションができるので、質問や相談もしやすい環境でした。 独力では解決できなかった問題も、相談するとすぐに解決策が見つかったりするものです。 そういった環境にも恵まれた、素晴らしい学生生活だったと思います。

また、内外でのセミナーや研究集会に参加したり、自分の研究を発表する機会も得ることができました。 外部の研究者と交流し、最先端の研究成果に触れたり、自分が考えていることについて助言を頂いたり、 かなり良い刺激を受けたように思います。 このような経験ができたのは、指導教員であった宗政先生の丁寧な指導があったからです。 ゼミを見て頂いたり、ゼミのない日も相談に伺ったり、先生とお話しない日は無いくらいでした。 先生には、心から感謝しています。

仕事中に数学教室での経験が生きる場面がありました。 ソフトウェア開発チームから、ある問題について相談を受けました。 よくよく聞いてみると、その問題は線形代数の初等的な問題に帰着できることがわかり、解決に至りました。 入社したての新人の意見を聞き入れて頂けるとは思ってもみませんでしたが、 鍛えてきた数学そのものの力、それと、研究発表などを通じて得た自分の考えを伝える力が通用した手応えを感じました。 今後も仕事をしていく上で、数学教室で身に付けた力、積み重ねた経験は生かされていくはずです。

数学教室で過ごした日々は、あっという間で、とても中身の濃い2年間でした。 この教室で数学を思いっきり楽しんで、自分を磨いてください。 鍛えぬいた数学の力は、社会に出ても強力な武器になるでしょう。

  宮本 利恵(平成22年3月 博士課程前期2年の課程修了)
宮本 利恵

私は、宮城教育大学教育学部から、博士前期課程(システム情報数理学Ⅱ)に入学しました。現在は、福島県で高校教諭をしています。

私は学部時代から、教員を志望していましたが、「教える立場になる前に、もっと深く数学を学びたい」と考え、大学院進学を決めました。前期課程で身に付けた専門性は、高校教諭として直接生かせることは少ないかもしれません。しかし、例えば授業で確率・統計の内容を高校生に教えるとき、教科書にはない応用例を少し紹介するだけでも、生徒の興味・関心を大いに引き出すことができます。そういった場面で、生徒に“数学のよさ”を伝える上で、間接的に生かせることは多いと感じています。

私の場合、学部時代とは異なる分野を専攻したいと考え、希望する分野の研究室のある本研究科への入学を決めました。入学してからは、毎週行われるセミナーとその準備はとても大変で、投げ出したくなってしまうこともありましたが、その度に、指導教員の先生から適切なアドバイスをいただき、乗り越えることができました。

情報数理談話会や各種セミナーにおいては、最先端の研究内容に触れることのできる機会に恵まれ、また、私の周りには、研究職志望の同期や先輩方も多くいたため、研究生活を送る上で、とても良い刺激になりました。一方で、一般企業就職・教員志望の同期も多く、情報交換をしたり、励まし合ったりしながら、研究と就職活動を両立させてきました。しかしながら、就職活動(教員採用試験)の準備が本格的に忙しい時期は、どうしても研究に手が回らなくなってしまうこともあり、就職組にとってはとても難しいところだと思います。

現在の私にとって、教員になる前に2年間、恵まれた環境のなかで研究し、学生生活を送ることができたことは、大きな財産となっています。

大学院進学を迷っている皆さんへ。東北大学情報科学研究科の数学教室には、努力さえ怠らなければ、あなたをサポートしてくれる素晴らしい教授陣、そして環境が整っています。あなたも、数学教室の一員として、数学と深く向き合ってみませんか。きっと、世界が広がると思います。

  大野 博道(信州大学工学部准教授; 平成17年3月 博士課程後期3年の課程修了)
大野 博道

東北大学情報科学研究科数学教室は、数学の研究をするのに非常に良い環境です。

まず、院生室が良いです。院生室は修士1年生から博士学生まで一緒の大部屋です。大部屋ですが、各学生にパーティションで区切られた机が一つずつ割り当てられており、勉強する場所に困るようなことはありません。数学の研究は一人でするものだと思われる方も多いかもしれませんが、実際に研究するときは一人でするよりも他の人と議論しながら行った方が研究は進みます。他の人と相談しながら研究をすれば、自分とは違う発想やひらめきを得られるからです。もっと単純に言えば、わからない問題があったときに、質問できる友人や先輩がすぐそばにいる環境は、研究を行うのに大きなプラスです。

また、これは数学に限りませんが、研究を深く進めていくと自分の分野以外の研究内容が必要になることがよくあります。私が院生のころに何気なく聞いていた友人の研究の話が、自分の研究で役に立つことも多いです。当時は研究の繋がりなど全くわかっていなかったのですが、ふとした時にその繋がりを発見すると、ものすごい感動を覚えます。院生時代に自分の分野と(一見)関係ない分野の研究に触れることは意外に難しいですが、すぐ近くに他分野の研究をしている同級生がいれば、自然とそれに触れることができます。

もちろん、友人を得る大きな機会にもなります。私が学生だったときには、研究以外にも、友人たちと遊んだり、飲みに行ったり、海外旅行に行ったりと、いろいろ楽しいことをやりました。私は10年以上前に数学教室で一緒に研究していた友人たちと、いまだに良く遊びます。

院生室以外にも、研究をするための設備は整っています。上にも書きましたが、学生には一人に一つずつ机が割り当てられていますし、学生全員が使えるコンピュータ室もあります。机には電源とLANがありますので、自分の机で自分のパソコンを使うこともできます。院生室の一階下には図書室もあるので、いちいち遠い図書館まで足を運ばなくてすみます。

先生方も熱心です。10年前、私が学生だったときの指導教官が、夜10時過ぎまで私のセミナーに付き合ってくださったことを良く覚えています。今、こうして自分が研究を続けていられるのは、数学教室の先生方のおかげだと深く感謝しています。

東北大学情報科学研究科に興味をもたれた皆さん。是非、数学教室に入って、研究はもちろん、研究以外のことも楽しんでください。ここで過ごした時間は、きっと皆さんの人生の糧となってくれるはずです。


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