日時 | 2020年3月10日㈫ 13:20–14:10 |
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場所 | 青葉山キャンパス 情報科学研究科棟 2階中講義室 |
備考 | 本ワークショップは数理科学連携研究センターの支援により開催します。 |
13:20–14:10 | 中岡 慎治 氏 (北海道大学) ◆ 講演題目 様々な摂動を受ける腸内細菌叢の安定性に関する数理・データ解析 ◆ 概略 近年、DNA 塩基配列を決定する計測技術 (シーケンサー) が普及したことにより、腸内に存在する細菌群集の組成を計測できるようになった。その結果、腸炎など疾患発症時に、腸内細菌叢の組成や多様性、密度は大きく変動し得ることが明らかになりつつある。食習慣の変化によっても腸内細菌叢は変化するが、食変化、抗菌剤投与、海外渡航時の水の変化など、腸内細菌叢は様々な摂動を受けている。様々な摂動を受ける系の安定性、回復力 (レジリエンス) や状態遷移 (レジームシフト) については未解明な部分が多く、データ解析も含めて、数理・理論的枠組みの構築が求められている。そこで本研究では、摂動に対する腸内細菌叢の安定性や回復力、もしくは状態遷移が起こる場合の予兆につながるシグナルの検出など、様々な摂動を受ける系に関する一連の数理・データ解析に関する研究結果を紹介する。 |
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日時 | 2020年3月10日㈫ 11:00–11:50 |
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場所 | 青葉山キャンパス 情報科学研究科棟 2階中講義室 |
備考 | 本ワークショップは数理科学連携研究センターの支援により開催します。 |
11:00–11:50 | 井元 佑介 氏 (京都大学) ◆ 講演題目 統計的因果探索に基づく制御ネットワーク推定 ◆ 概略 近年、多種多様のデータが採取できるようになり、そのデータから様々な現象の相互作用を表すネットワークモデルを推定する研究が盛んに行われている。生命科学においては、細胞分化を誘導する遺伝子発現のデータから、遺伝子発現の転写制御を表す遺伝子制御ネットワークを推定し、生物の多様性を理解する試みが行われている。 本研究では制御ネットワークに基づいて記述される現象のデータから統計的因果探索手法"LiNGAM"を応用して制御ネットワークを推定することを目的とする。LiNGAMは非介入データから因果ネットワークを多項式時間で一意に推定できる手法であり、データが因果ネットワークに対応するある数理モデルで記述されるという仮定のもとで理論が構築される。その数理モデルは線形・非線形モデル、時間発展モデルなどが提案されている。本研究では制御ネットワークに対応する力学系モデルに基づくLiNGAMを新たに考案し、データから制御ネットワークを推定する手法を提案する。提案手法は少ないタイムステップのデータでも推定できること、推定された制御ネットワークは制御の種類(促進・抑制)も推定できることが特徴である。 本講演は平岡裕章氏、斎藤通紀氏、小島洋児氏(京都大学)、清水昌平氏(滋賀大学)、前田高志ニコラス氏(理化学研究所)との共同研究(WPI-ASHBiプロジェクト)に基づく。 |
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日時 | 2019年3月12日㈫ 16:45–17:30 |
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場所 | 青葉山キャンパス 情報科学研究科棟 2階中講義室 |
備考 | 情報科学研究科研究科重点プロジェクト「数学と諸分野の協働推進による学際的・総合的な新領域研究の開拓」第28回講演会を兼ねています。 |
16:45–17:30 | 荻原 哲平 氏 (統計数理研究所) ◆ 講演題目 高頻度データを用いた株価変動リスクの統計解析とニューラル・ネットワーク ◆ 概略 金融機関は保有する株式の株価変動による金融資産価値の変動をコントロールする必要があり,株価データや財務データから統計解析を用いて将来の株価の分散・共分散を予測してリスク・コントロールを行っている.特に年金基金の株式運用やインデックス・ファンドの運用においては株価変動リスクをより正確にコントロールすることが求められ,株価の分散・共分散の高い予測精度が必要となる.近年は株式市場の一日内の全取引を記録したような「高頻度データ」が容易に入手できるようになり,このようなデータを用いた株価変動リスクの計測が活発に研究されている.高頻度データはその情報量の多さからより精度の高い予測が可能になると期待されている一方で,特有の複雑な構造から統計解析に困難が生じる.本講演では,株価を確率過程でモデリングした時の高頻度データの複雑な構造を考慮した統計解析手法を紹介する.また,高頻度データのデータ量を活用してニューラル・ネットワークと上記の統計解析手法を融合して株価構造を学習するアプローチに関しても紹介する. |
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日時 | 2019年3月12日㈫ 16:00–16:45 |
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場所 | 青葉山キャンパス 情報科学研究科棟 2階中講義室 |
備考 | 情報科学研究科研究科重点プロジェクト「数学と諸分野の協働推進による学際的・総合的な新領域研究の開拓」第27回講演会を兼ねています。 |
16:00–16:45 | 平井 広志 氏 (東京大学) ◆ 講演題目 CAT(0)空間上のアルゴリズムと最適化について ◆ 概略 CAT(0)空間と呼ばれるユークリッド空間や双曲空間を一般化した距離空間がある.CAT(0)とは,「曲率が非正」ということを意味している.この空間は,ユークリッド空間で成り立つ様々な良い性質を引き継いでいる.特に,任意の2点を結ぶ測地線(=最短路)が一意に定まる.このことから凸関数なども自然に定義される.最近になって,CAT(0)空間を利用したモデリングやその上でのアルゴリズム・最適化理論が展開され始めている.たとえば、系統樹のなす空間をCAT(0)空間として実現し、2つの系統樹の中点や、複数の系統樹の重心を計算する試みや、ある種の変形ロボットの状態空間をCAT(0)空間として実現し、測地線を計算することより最適動作計画を得る試みがある。本発表では,そのような試みの一端を紹介する. |
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日時 | 2019年2月12日㈫ 14:00–15:00 |
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場所 | 青葉山キャンパス 情報科学研究科棟 2階中講義室 |
備考 | 情報科学研究科研究科重点プロジェクト「数学と諸分野の協働推進による学際的・総合的な新領域研究の開拓」第26回講演会を兼ねています。 |
14:00–15:00 | 持橋 大地 氏 (統計数理研究所) ◆ 講演題目 階層 Pitman-Yor 過程による半教師あり形態素解析 ◆ 概略 自然言語の単語の頻度分布は一般に巾乗則に従い, それは Pitman-Yor 過程 (Pitman and Yor 1997), あるいはそれを階層化した階層 Pitman-Yor 過程 (Teh 2006) とよばれる確率過程によってよく近似できることが知られている。このことを利用し, 文字と単語の Markov モデルにネストされた階層 Pitman-Yor 言語モデルを考えることで, たとえ未知の言語でも, 生の文字列だけから「単語」を完全に自動的に推定できる統計モデルを2009年に発表した (Mochihashi et al. 2009)。しかし, 実際の応用では人手で構築した単語分割の教師データや辞書が利用できることが多く, そうした教師データの情報も利用する半教師あり学習の必要性がもっとも高いと考えられる。そこで, 形態素解析の教師あり学習のための標準的なモデルであるCRF (条件付確率場) と上記の階層 Pitman-Yor 過程による言語モデルを接続し, 互いに補い合うことで, 教師データにない未知の言語表現からも適切に「単語」を認識することのできる半教師あり学習の枠組 (Fujii et al. 2016)について解説する。また, 近年のニューラル言語モデルの発展も踏まえ, 現代的な立場からこうした研究をどう発展させていくかについての議論も同時に行いたい。 |
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日時 | 2019年2月5日㈫ 15:00–16:00 |
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場所 | 青葉山キャンパス 情報科学研究科棟 2階大講義室 |
備考 | 情報科学研究科研究科重点プロジェクト「数学と諸分野の協働推進による学際的・総合的な新領域研究の開拓」第25回講演会を兼ねています。 |
15:00–16:00 | 林 正人 氏 (名古屋大学) ◆ 講演題目 測定型量子計算による量子計算の検証 ◆ 概略 量子計算はこれまでの従来型の古典計算機の性能を上回るものとして,期待されている.しかしながら,できあがった量子計算機の構成要素にエラーがあると,正しい計算結果は得られない.そのため,量子計算機が正しく実装されているか検証することは,実用上不可欠である.計算したい問題がNPに属する場合は,古典計算機でその正しさを検証することができるが,NPに属さない問題を解く場合には,この方法が使えないので,量子計算機が正しく実装されているか検証する必要がある.もちろん,個別の回路が正しく実装されれば,計算結果は正しく得られる.個々の回路でのエラーが想定される範囲であれば,誤り訂正によって訂正することは可能である.しかし,エラーに予期せぬ相関が生じ,全体で想定外のエラーが起きる可能性は否定できないので,そのような事態に備えて,本当に回路全体で正しく量子計算機が動作したか検証する必要がある.しかし,計算結果がわからないから計算を行うため,計算結果を以って,計算結果の正しさを検証することは困難である.本講演では,このような問題を避けるために,測定型量子計算のモデルに注目する.測定型量子計算のモデルでは,全体の形が確定した巨大なエンタングル状態と個別の系の量子測定の組み合わせを用いて計算を行う.個別の量子測定と巨大なエンタングル状態が正しく実装されれば,正しい計算結果が得られるため,これらの構成要素が正しく実装されているか検証することで,測定型量子計算のモデルでの検証が可能となる.主に以下の3つの設定について議論する.(1)個別の局所測定はノイズなしに実装でき,巨大なエンタングル状態のみ検証が必要な場合.(2)個別の局所測定はノイズがあるものそのノイズは一定の範囲に収まる範囲で実装でき,巨大なエンタングル状態のみ検証が必要な場合.(誤り訂正を組み合わせることで,エンタングル状態および測定の双方に一定の範囲のエラーを許す.)(3)個別の局所測定及び巨大なエンタングル状態の双方を検証する必要な場合.(エンタングル状態および測定の双方に一定の範囲のエラーを許さない.)近年では,これらの設定において,様々な派生バージョンが議論されており,それらについても紹介する予定である. |
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日時 | 2018年11月12日㈪ 16:00–17:30 |
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場所 | 青葉山キャンパス 情報科学研究科棟 2階大講義室 |
備考 | 情報科学研究科研究科重点プロジェクト「数学と諸分野の協働推進による学際的・総合的な新領域研究の開拓」第24回講演会を兼ねています。 |
16:00–17:30 | 李 聖林 氏 (広島大学) ◆ 講演題目 反応拡散系で解く生命科学の謎、そして反応拡散形成で導く生命科学の美 ◆ 概略 近年、実験手法や分子生物学の飛躍的発展により、生命現象における様々な仕組みを細胞や遺伝子レベルまで解析可能となった。それと同時に、実験でみられる結果は局所的な観察に限定されることが多く、それを補うために数理を用いた融合研究が活発になってきている。生命科学における数理の役割は大きく二つあると考えられる。一つは、生物学的新しい現象は既に実験で見られていて、その検証のための定量化や解析に用いられる事、二つ目の役割は、実験では全く予想不可能だった新しい生命の仕組みを発見・提案する事である。本講演では、この10年間、反応拡散系を用いて明らかにしてきた生命・医療の研究の中から、生命科学における数理の二つ目の役割の事例を重点的に紹介する。また時間があれば、今まで未解決に残っている数学的問題を紹介し、反応拡散系の更なる可能性を探りたい。具体的には、(1)核内クロマチンパターン形成とPhase-field法(2)蕁麻疹の謎を解いた一行の反応拡散方程式(3)非対称細胞分裂における細胞極性と反応拡散系とPhase-field法の3つを中心に紹介したい。 |
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日時 | 2018年10月12日㈮ 16:00–17:30 |
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場所 | 青葉山キャンパス 情報科学研究科棟 2階中講義室 |
備考 | 情報科学研究科研究科重点プロジェクト「数学と諸分野の協働推進による学際的・総合的な新領域研究の開拓」第23回講演会を兼ねています。 |
16:00–17:30 | Pierre Antoine Geslin 氏 (東北大学) ◆ 講演題目 Phase-field modeling: application to liquid metal dealloying ◆ 概略 Phase-field modeling has emerged in the field of materials science as a tool of choice to investigate a variety of free boundary problems such as alloy solidification, grain growth, brittle fracture or dewetting. This approach consists in introducing a field that defines implicitly the interfaces between the different phases. Partial differential equations on this phase-field and on other relevant parameters are then chosen to incorporate the appropriate physics for the problem at hand. In the first part of my talk, I will present the general framework of phase-field modeling and discuss its capabilities to study various free boundary problems. In the second part of my talk, I will present its application to investigate the formation mechanism of microstructures obtained from liquid metal dealloying. This new processing technique enables to manufacture finely porous structures of various nature (non-noble metals, refractory metals or semi-conductors) presenting a high surface area, valuable in numerous applications (catalysis, battery materials, sensors,...). The development of a phase-field model allowed to clarify the details of the formation mechanism that can be seen as an interfacial spinodal decomposition. In addition, we show that the dealloying process is limited by diffusion of the dealloyed element in the liquid melt and we relate the size of the obtained microstructure to the dealloying rate. |
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日時 | 2018年10月4日㈭ 16:00–17:30 |
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場所 | 青葉山キャンパス 情報科学研究科棟 6階小講義室 |
備考 | 情報科学研究科研究科重点プロジェクト「数学と諸分野の協働推進による学際的・総合的な新領域研究の開拓」第22回講演会を兼ねています。 |
16:00–17:30 | 中田 芳史 氏 (東京大学) ◆ 講演題目 量子情報科学とユニタリ・デザイン ◆ 概略 物理法則に支配されたこの世界で実現しうる究極の情報処理とは何だろうか。そんな問いかけに答え、あわよくば実際に実現しようとする学問が、量子論と呼ばれる物理の基本法則と情報科学を融合させた量子情報科学である。量子論においてはしばしば非直感的な現象が起こるが、そのような奇妙な量子現象を情報処理に活用することで、性能が飛躍的に向上する場合がある。量子情報科学では、そういった量子論に基づく情報処理の可能性と限界を見極めるべく、日々、研究を行っている。そんな量子情報科学において、ここ数年、注目を浴びているのがユニタリ・デザインと呼ばれるユニタリ群上での確率分布である。ユニタリ・デザインは、ある意味で量子論における "ランダムな操作" に対応するもので、多くの量子情報処理に役立つ貴重なリソースとなっている。その一方で、ユニタリ・デザインに対応する操作を実験で実現することは容易ではないという欠点も併せ持つため、実験的に易しい手法で実現可能なユニタリ・デザインの構成方法を求めて、多くの研究が行われている。本講演ではまず、量子情報科学の簡単な紹介を行った上で、実験的に簡潔なユニタリ・デザインの構成方法について、近年の研究進展を踏まえつつ詳しく解説する予定である。また、講演者らによって発見された構成方法に関連する組み合わせ論の問題についても紹介したいと考えている。 |
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日時 | 2018年3月12日㈪ 16:30–17:30 |
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場所 | 青葉山キャンパス 情報科学研究科棟 2階大講義室 |
備考 | 情報科学研究科研究科重点プロジェクト「数学と諸分野の協働推進による学際的・総合的な新領域研究の開拓」第21回講演会を兼ねています。 |
16:30–17:30 | Massimo Lanza de Cristoforis 氏 (University of Padova, Italy) ◆ 講演題目 A functional analytic approach to singular perturbation problems ◆ 概略 The analysis of singular domain perturbation problems for linear equations and systems of partial differential equations has caught the attention of several authors. In particular, a wide literature has been dedicated to the study of boundary value problems defined in domains with small holes or inclusions shrinking to points. This type of problems is of interest not only for the mathematical aspects but also in view of concrete applications to the investigation of physical models in fluid mechanics, in elasticity, and in heat conduction. For example, problems on domains with small holes or inclusions can arise in the modeling of dilute composites or of perforated elastic bodies. Investigating the effect of small perforations in the domains on the solutions of boundary value problems can help us to design objects, with improved characteristics. This is done via the so-called 'topological optimization' whose aim is to understand, for example, whether removing some material can improve the properties of a body. At the same time, knowing the behavior of solutions in domains with cavities can be the starting point of algorithms for the detections of holes and inclusions. However, the computational analysis of the structures consisting of components with very different lengths or dimensions often leads to numerical inaccuracy and instability. Therefore, one needs to perform a preliminary theoretical study. The most common approach to analyze problems in a domain with small holes is the one of asymptotic analysis, whose goal is to compute asymptotic expansions in terms of the size of the perforations. In this talk, we present an alternative method, i.e. the Functional Analytic Approach. Such a method aims at representing the solution or related functionals in terms of analytic maps and explicitly known functions. As a consequence one can express the solutions in terms of power series of the perturbation parameter whose coefficients can be explicitly computed. The method has revealed to be extremely versatile, with applications to several geometric settings and also to nonlinear boundary conditions. |
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共催 | 知の創出センター TFC Fusion Research Seminar |
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日時 | 2018年2月15日㈭ 16:30–17:30 |
場所 | 片平キャンパス 知の館 (TOKYO ELECTRON House of Creativity) 3階 |
備考 | 情報科学研究科研究科重点プロジェクト「数学と諸分野の協働推進による学際的・総合的な新領域研究の開拓」第20回講演会を兼ねています。 |
16:30–17:30 | 浦本 武雄 氏 (東北大学大学院情報科学研究科) ◆ 講演題目 計算階層の分類と、その圏論的見方 ◆ 概略 例えば11010の様なバイナリ列が与えられ、それを2進数と見たときに、それが合成数か否かを判定するアルゴリズムは勿論ありますが、そのアルゴリズムはどの程度まで効率化することができるでしょうか?あるいは原理的にこれ以上効率化できないという限界を見極めるにはどうすれば良いでしょうか?———この種の、文字列を入力として受け取り一定の性質を判定する問題及びその計算量を見積もる問題は多くの文脈で自然に現れる問題ですが、形式的には文字列の集合(言語)の組合せ論的な問題として定式化されます。形式言語理論と呼ばれる分野では古くから、この様な組合せ論的な問題に対する研究が行われてきましたが、近年、あるクラスの言語に対する見通しの良い分類理論が整備され研究が進んでいます。本講演では、文字列に対する判定アルゴリズムの話から始め、その問題のクラスの良い分類を目指す過程で、いかにして数学の一分野である「圏論」が使われるのかについて、自身の研究を踏まえてお話しします。 |
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共催 | 数理科学連携研究センター |
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日時 | 2018年1月10日㈬ 15:00–16:00 |
場所 | 青葉山キャンパス 情報科学研究科棟 2階大講義室 |
備考 | 情報科学研究科研究科重点プロジェクト「数学と諸分野の協働推進による学際的・総合的な新領域研究の開拓」第19回講演会を兼ねています。また、1月11日㈭・12日㈮に数理科学連携研究センター・ワークショップ「Differential Equations and Networks」が開催されます。 |
15:00–16:00 | Braxton Osting 氏 (The University of Utah, USA) ◆ 講演題目 Geometric and variational methods for clustering ◆ 概略 Clustering is the unsupervised learning task of finding similar groups of items within a dataset. One approach to clustering is to reformulate the problem as a weighted graph partitioning problem where the graph edge weights are derived from a similarity measure between items in the dataset. This graph partitioning problem can be formulated using a variety of geometric quantities, for example, the Cheeger cut and Laplace-Dirichlet eigenvalues. In this talk, I'll discuss the resulting methods, their semi-supervised extensions, variational relaxations, and interpretations in terms of random processes. I'll present some recent consistency results for geometric graphs, stating convergence of graph partitions to an appropriate continuum partition. I'll also describe numerical methods that can be used to find locally optimal partitions and present results demonstrating that such methods compare well with state-of-the-art approaches on a variety of graphs constructed from synthetic data, the MNIST handwritten digit dataset, and images. This general-audience colloquium will be complemented by three more mathematical lectures on the same topic. |
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日時 | 2017年10月31日㈫ 16:00–17:20 |
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場所 | 青葉山キャンパス 情報科学研究科棟 2階中講義室 |
備考 | 情報科学研究科研究科重点プロジェクト「数学と諸分野の協働推進による学際的・総合的な新領域研究の開拓」第18回講演会を兼ねています。 |
16:00–17:20 | Sergey Minaev 氏 (Far-Eastern Federal University, Vladivostok, Russia) ◆ 講演題目 Hierarchy of nonlinear equations of combustion theory ◆ 概略 In mathematical modeling of combustion processes there is a wide range of different problems related to fluid mechanics, gas dynamics, chemical kinetics and nonlinear physics. An analytical study within the framework of complete models that take into account all the characteristics of combustion is practically impossible because of the large span in time and spatial scale of the processes. In this case, the only realistic approach is the use of simplified nonlinear equations aimed at describing a specific phenomenon. The seminar will discuss simplified nonlinear models of flame front instability and their exact solutions, nonlinear models arising in the chemical kinetics of combustion and models describing localized in the space individual hot spots of combustion. The discussion will be attended by Dr. Viatcheslav Bykov (Karslruhe Institute of Technology, Germany), specialist in reduction of chemical kinetics model and Dr. Vladimir Gubernov (P.N. Lebedev Physical Institute of the Russian Academy of Sciences, Moscow, Russia), specialist in nonlinear dynamics of reactive-diffusion systems. ◆ 備考 16:00–16:50 が講演、16:50–17:20 が Minaev 氏・Bykov 氏・Gubernov 氏による discussion session の予定です。 |
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日時 | 2017年10月11日㈬ 15:10–16:00 |
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場所 | 青葉山キャンパス 情報科学研究科棟 2階大講義室 |
備考 | 情報科学研究科研究科重点プロジェクト「数学と諸分野の協働推進による学際的・総合的な新領域研究の開拓」第17回講演会を兼ねています。 なお、本講演会は「第3回人工知能学研究会」の一部として開催します。 |
15:10–16:00 | 石川 博 氏 (早稲田大学 理工学術院) ◆ 講演題目 視覚の数理モデルと構造付き予測問題 ◆ 概略 視覚は人間の感覚入力のうちおそらく最も大量の情報を処理するものだが、それでも周りの環境についての情報のうち、ごく一部を2次元の画像として得て、そこから脳内で最も可能性の高い情景を再構築しているものである。そのためには、ありうる情景の情報表現があらかじめ存在している必要であるが、コンピューター上の画像や、網膜上に並ぶ視細胞の信号の総体としての視覚入力の表現は、一般性が高い一方、見えている物体や状況の認識につなげるための構造を明示的に表現しない。しかし記憶容量、効率、そして汎化性の観点からは、まさにそのような偶然でない構造を情報表現することが必要である。最近の人工知能ブームの原因である畳み込みニューラルネットワークは、その構造から暗黙のうちにそのような表現をしていると思われる。本講演ではこれらの点を説明した後、JST CREST 数理モデリング領域におけるプロジェクトで進めている研究のうち、構造付き予測問題の最新成果(ラフ画の線画化、白黒写真のカラー化、画像補間)を紹介する。 |
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日時 | 2017年6月29日㈭ 16:30–17:30 |
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場所 | 青葉山キャンパス 情報科学研究科棟 2階大講義室 |
備考 | 情報科学研究科研究科重点プロジェクト「数学と諸分野の協働推進による学際的・総合的な新領域研究の開拓」第16回講演会を兼ねています。 |
16:30–17:30 | 飯田 渓太 氏 (東北大学 東北メディカル・メガバンク機構, 大学院医学系研究科) ◆ 講演題目 遺伝子発現系の数理モデリング ~確率論と決定論の視点から~ ◆ 概略 遺伝子発現とはDNA情報からタンパク質が合成される過程である。この原理は1950年代に提唱されたが、一方でその発現量に関しては法則性が確立していない。定量的な遺伝子発現解析は従来さまざまなアプローチが試みられているが、未だに決定的な方法が見つかっていない。一方、21世紀のシステム生物学は複雑な細胞内分子ネットワークの構造を明らかにしてきたが、遺伝子発現ネットワーク上のダイナミクスについては、ゆらぎを「平均化」して無視するという単純化がしばしば行われており、その解釈については疑問が残っている。この問題に対し、タンパク質の生成崩壊の過程をMarkovモデルを用いて表し、確率分布をマスター方程式から計算する方法が提唱されているが、一般にマスター方程式は解析が難しく、非常に単純なモデルであっても解析解が求まらない場合が多い(転写、翻訳のtwo-stage modelなど)。今回は、遺伝子発現ネットワークのモジュールとなる基本数理モデルを新規に提案し、その解析解を導出する。また、我々の提唱するモデル方程式が1細胞からN細胞の平均化モデルまで広範囲に適用できることを示す。さ らに、この1細胞モデルと平均化モデルは本質的に異なるものであることを明らかにし、実験で得られる発現量のアンサンブル平均に決定論的モデルを当てはめることの危険性を示唆する。 |
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日時 | 2017年6月15日㈭ 16:30–17:30 |
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場所 | 青葉山キャンパス 情報科学研究科棟 2階大講義室 |
備考 | 情報科学研究科研究科重点プロジェクト「数学と諸分野の協働推進による学際的・総合的な新領域研究の開拓」第15回講演会を兼ねています。 |
16:30–17:30 | 水藤 寛 氏 (東北大学 材料科学高等研究所) ◆ 講演題目 臨床医学と数理科学の協働の現状と可能性 ◆ 概略 本講演では、科学技術振興機構の戦略的創造研究推進事業CRESTにおけるプロジェクト「臨床医療における数理モデリングの新たな展開」で進めている内容を中心に、主に大動脈における血流解析の話題について述べる。大動脈における血流は、動脈硬化から始まって大動脈瘤、大動脈解離など生命に関わる循環器系疾患に深く関係していると考えられており、曲率を持つ管内の流れに特徴的な2次流れや捩率の影響、拍動流であることによる特徴、血管壁との流体構造連成など、様々な流体力学的特徴を持っている。血管形状には個人差が大きく、それらの幾何学的な特徴と病態との関係を調べることによって予後予測にもつながることが期待されている。また、このような解析にはCT, MRIなどの医用画像を用いることになるが、その処理においても数学的手法が重要な役割を果たしている。本講演では、このような数理科学と臨床医学との協働の営みを紹介し、その可能性について述べたい。 |
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日時 | 2017年6月1日㈭ 16:30–17:30 |
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場所 | 青葉山キャンパス 情報科学研究科棟 2階大講義室 |
備考 | 情報科学研究科研究科重点プロジェクト「数学と諸分野の協働推進による学際的・総合的な新領域研究の開拓」第14回講演会を兼ねています。 |
16:30–17:30 | 水木 敬明 氏 (東北大学 サイバーサイエンスセンター) ◆ 講演題目 秘密計算を実現するカードベース暗号 ◆ 概略 仲良しグループが今度の土曜日にカラオケに行くかどうかを決めたい場面を考える。気まずくなるのを避けるため、各人の行きたいかどうかの気持ち(YES/NO)は秘密にしたまま、全員がYESであるか、それとも一人でもNOの人がいるのか、そのどちらであるかだけを知りたい。すなわち、全員の秘密のビット値の論理積(AND演算)の結果だけを知りたい。もしこのような「秘密計算」が可能であれば、 前者の場合はもちろんカラオケに行くことにし、後者の場合は今回はやめておくことができる(後者のときも、誰がNOと思っているかわからないので、気まずくならない)。 本講演では、トランプのような物理的なカード組を使う「カードベース暗号」を用いると、上述のような秘密計算が簡単に実現できることを紹介する。特に、講演者らが考案した「ランダム二等分割カット」というシャッフルの登場により、論理積や排他的論理和(XOR)の秘密計算が少ないカード枚数や手順で実行できるようになり、カードベース暗号が急激に効率化され、人間が実際に実行できるレベルになっていることなどを含め、カードベース暗号の歴史と最近の動向を概観する。 |
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日時 | 2017年3月28日㈫ 16:30–17:30 |
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場所 | 青葉山キャンパス 情報科学研究科棟 2階大講義室 |
備考 | 情報科学研究科研究科重点プロジェクト「数学と諸分野の協働推進による学際的・総合的な新領域研究の開拓」第13回講演会を兼ねています。 なお、当日15:20より情報数理談話会も合わせて開催されます (講演者: Justin Holmer 氏 (Brown University))。 |
16:30–17:30 | Riccardo Adami 氏 (Politecnico di Torino, Italy) ◆ 講演題目 The critical occurrence of negative energy ground states for a critical non-linear Schroedinger equation ◆ 概略 It is well known that the nonlinear Schrodinger equation models the light wave propagation in optical fibers. The study of wave propagation in variously shaped devices, such as Y-junctions, H-junctions has gained its popularity in recent years. To understand the properties of the propagation, a key role is played by the behaviour of a special solution minimizing the energy, called ground state. For the so-called "L^2 critical" Nonlinear Schrodinger equation considered on the Euclid space, ground states cannot have negative energy: indeed, for a ground state to exist it is necessary that the nonlinearity is focusing, and the computation of the moment of inerzia due to Glassey shows that every state with negative energy blows up. We show that if the spatial domain is a quantum graph, then the compact core of the graph can trap negative energy ground states if some topological assumption is satisfied. This is a joint result with Enrico Serra e Paolo Tilli. |
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日時 | 2017年3月7日㈫ 16:30–17:30 |
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場所 | 青葉山キャンパス 情報科学研究科棟 2階大講義室 |
備考 | 情報科学研究科研究科重点プロジェクト「数学と諸分野の協働推進による学際的・総合的な新領域研究の開拓」第12回講演会を兼ねています。 |
16:30–17:30 | 富安 亮子 氏 (山形大学理学部/JSTさきがけ) ◆ 講演題目 格子とその結晶学への応用 ◆ 概略 結晶学は固体物質のミクロ構造の情報をどのように得て処理するかという観測の問題を扱う分野で、実験物理と、各実験装置に付属するデータ解析(最適化、ときに第一原理計算まで含む)ソフトウェアアプリケーションがその基盤を支えている。数学上の意味で困難な問題も存在することから、計算面において様々なアプローチがこれまでになされてきたが、情報科学分野との連携はまだ発展途上と言える。数学分野との連携については、およそ100年前に結晶学が創始されて以来、格子パラメータを記述するために格子基底簡約理論が、消滅則を記述するために結晶群に関わる群論が導入されたなど数多くの事例があり、この他の事例については割愛するが、結晶群の記法において、一つの空間群に対して複数の記号が対応してしまうという問題を解決するため、新しい記法が Conway, Thurstonらによって提案されたのは近年のことである。この事例が示すように、この分野では解析・ソフトウェアアプリケーションにおける障害として、数学としては基本的な(でも新しい)問題が残っていることがある。 今回は主に消滅則の話である。230通りの空間群に対して、およそ1700通りの消滅則が発生するが、コードを書く際にそんなにたくさんの場合分けはできないので「この消滅則に共通する性質は何か?」という問題が発生する。消滅則は、数学的に言えば、multiple invariant theoryの問題とも言えるが、この分野を牽引したHilbertの第14問題と、必要とされている「性質」の間の距離は遠く、そこで、異なるタイプの「定理」を計算によって見つけてきた、というのが、得られた結果の趣旨である。この話が、整数論の結果とも絡めて「格子ベクトル長さの情報から格子を決定する(粉末指数付け)」という問題に応用される。定理自体は、電子顕微鏡など、消滅則に関わる一般的な問題に使用することができる。 |
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日時 | 2017年3月6日㈪ 15:30–16:30 |
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場所 | 青葉山キャンパス 情報科学研究科棟 2階中講義室 |
備考 | 情報科学研究科研究科重点プロジェクト「数学と諸分野の協働推進による学際的・総合的な新領域研究の開拓」第11回講演会を兼ねています。 |
15:30–16:30 | 林 直樹 氏 (大阪大学大学院工学研究科) ◆ 講演題目 代数的グラフ理論に基づくマルチエージェントシステムの制御と分散最適化 ◆ 概略 情報通信技術の進展により、ネットワークを介してサブシステムが有機的に結合した大規模システムを分散的に制御する手法の重要性が増している。このようなネットワーク化されたシステムをうまく制御するためには、サブシステム間の相互作用を考慮した数理的アプローチが必要である。近年、制御工学の分野では、このようなネットワーク化されたシステムの分散制御法として、代数的グラフ理論に基づくマルチエージェントシステムの制御が注目され、ビークル群の編隊形成や動物の群れ行動の解析、センサネットワーク、スマートグリッドへの応用などに関する研究が活発にされている。マルチエージェントシステムの最も基本的な制御法として、合意制御が挙げられる。合意制御とは、エージェント間の情報伝達を通して全てのエージェントの状態をある値(合意値)に漸近的に一致させる制御法であり、ネットワークの構造と合意値や収束速度との間には密接な関係があることが知られている。本講演では、代数的グラフ理論の観点から、マルチエージェントシステムの合意制御やその分散最適化への応用について紹介する。 |
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日時 | 2017年3月6日㈪ 14:20–15:20 |
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場所 | 青葉山キャンパス 情報科学研究科棟 2階中講義室 |
備考 | 情報科学研究科研究科重点プロジェクト「数学と諸分野の協働推進による学際的・総合的な新領域研究の開拓」第10回講演会を兼ねています。 |
14:20–15:20 | 木村 元 氏 (芝浦工業大学システム理工学部) ◆ 講演題目 一般確率論上の情報理論について ◆ 概略 一般確率論(General Probabilistic Theories)とは,古典確率や量子論を包含する操作主義的に最も一般的な確率論の枠組みである.von Neumannの量子論の数学的特徴付けに端を発し,1960年代からMackeyやArakiらによって整備され発展したものである.他方,近年の量子情報科学の発展に呼応するように,一般確率論を土台とする情報理論を構築する試みが世界的にすすめられている.これは,古典情報理論及び量子情報理論を含む「操作主義的に最も一般的な情報理論」であると考えられ,この研究により情報処理や物理法則の間の連関性を理解し,情報の本質を捉えることができると期待されている. 本講演では,一般確率論の簡単なレビューに加え,情報理論の基礎概念であるエントロピーの導入や,通信や暗号理論の基礎となる「情報取得量の限界」や「情報源符号化定理」に関し,最近の我々の成果について紹介する. |
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日時 | 2017年2月24日㈮ 16:30–17:30 |
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場所 | 青葉山キャンパス 情報科学研究科棟 2階大講義室 |
備考 | 情報科学研究科研究科重点プロジェクト「数学と諸分野の協働推進による学際的・総合的な新領域研究の開拓」第9回講演会を兼ねています。 |
16:30–17:30 | 佐野 吉彦 氏 (静岡大学工学部) ◆ 講演題目 局所体積平均理論に基づく多孔質機器の設計 ◆ 概略 従来、微細な構造体が複数集まった多孔質体の工業製品は、熱交換器・触媒・燃料電池など工学・産業界等で幅広く活用されている。このような多孔質体の特徴は、一般的に機器サイズ(マクロスケール)と構造物サイズ(ミクロスケール)に大きな隔たりがあることである。更に、微細構造が周期性を有するときもあれば、ランダムな配置のときもあり、その形状や配列により機器の性能は大きく左右される。機器の開発現場では,主に数値シミュレーションに基づき機器の最適設計を行うが、その際,両スケールの物理現象を連成させる必要があり、実用性の高い連成手法が要求されている。本講演では、マルチスケール・マルチフィジクス現象を記述するために、工学で発展した局所体積平均理論を紹介する。講演者の研究テーマから、熱・物質移動現象を例に、ミクロとマクロの物理現象について説明していく。 |
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日時 | 2017年2月23日㈭ 15:10–16:10 |
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場所 | 青葉山キャンパス 情報科学研究科棟 2階大講義室 |
備考 | 情報科学研究科研究科重点プロジェクト「数学と諸分野の協働推進による学際的・総合的な新領域研究の開拓」第8回講演会を兼ねています。 |
15:10–16:10 | 井上 歩 氏 (愛知教育大学数学教育講座) ◆ 講演題目 対象を代数化することで見えてくる世界(紐の絡まりを表現する方法) ◆ 概略 近年,高分子といった複雑な構造を代数化して,その構造や性質を解析するという手法(パーシステントホモロジー)が脚光を浴びている.このように対象を代数的に表して解析することは,今後の科学の発展にも重要な手法と言える.そこで本講演では,紐の絡まりを対象として,これがカンドルという代数で表現できることを紹介する.紐状の物質の絡まりは DNA やタンパク質構造といった形で自然界に遍在しており,この代数化はこれらの研究にも応用が期待できる.例えば,絡まった紐をカンドルとして表すことで,そのキラル性を簡潔に表現することができる.また本講演では,絡まった紐からどのような思考を経てカンドルという代数を想起するのか,その仕組みについても解説する. |
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日時 | 2017年2月16日㈭ 16:30–17:30 |
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場所 | 青葉山キャンパス 情報科学研究科棟 2階大講義室 |
備考 | 情報科学研究科研究科重点プロジェクト「数学と諸分野の協働推進による学際的・総合的な新領域研究の開拓」第7回講演会を兼ねています。 |
16:30–17:30 | 横山 啓一 氏 (日本原子力研究開発機構) ◆ 講演題目 量子ウォークを用いた同位体分離スキームと放射性廃棄物無害化技術への応用 ◆ 概略 原発から発生した放射性廃棄物の無害化を目指して、中性子照射による長寿命核種の核変換が検討されている。しかし、核種によっては今までにない精密な同位体分離が必要となるため、効率の良い分離原理が望まれている。我々は、分子集団の回転状態分布に着目した時、ある種の光吸収により回転角運動量空間で量子拡散が実装されることを見出した。量子ウォークが持つ線形拡散と局在化の性質により、従来より遥かに精密な同位体分離を実現できる可能性が出てきた。講演では今後の課題と発展性についても紹介したい。 |
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日時 | 2017年2月8日㈬ 16:30–17:30 |
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場所 | 青葉山キャンパス 情報科学研究科棟 2階中講義室 |
備考 | 情報科学研究科研究科重点プロジェクト「数学と諸分野の協働推進による学際的・総合的な新領域研究の開拓」第6回講演会を兼ねています。 |
16:30–17:30 | 鈴木 厚 氏 (大阪大学サイバーメディアセンター) ◆ 講演題目 大規模疎行列の並列直接法解法と FreeFem++ ソフトウェアでの活用 ◆ 概略 偏微分方程式を有限要素法で離散化すると、大規模な疎行列からなる連立方程式系が得られる。その解法にはLU分解に代表される直接法と共役勾配法に代表される反復法がある。反復法は計算複雑さが小さく、主たる演算である行列とベクトルの積演算が並列計算に適するが、非対称性が強い場合や不定値の場合には適切な前処理と組み合わせる必要がある。一方直接法は堅牢な解法であるが逐次演算であること、計算複雑さが大きいため、大規模行列を扱うことは難しかった。しかし、変数の順序の並べ替えと非零成分のグラフ分割により、複数の箇所から分解を開始することと部分的な密行列演算操作の抽出により、現代のスーパースカラー型のマルチコアCPUシステムで高い演算性能を得ることが可能になってきている。数学的な問題は、有限要素法剛性行列は対称な非零要素パターンを持つため、行列の左右から同一の置換をほどこす対称軸選択が効率的であるが、不定値行列の場合はLU分解が途中で破綻する可能性があることである。分解途中の部分行列の対角成分が極端に小さくなった場合、LU分解操作を先送りすること、対角を2x2のブロックとして扱うことでこの問題を回避することができる。開発した Dissection コードは更に行列が特異な場合、核の次元を数値的に決定するアルゴリズムを含む。FreeFem++ は有限要素法の弱形式を直接記述するスクリプト言語を持つ汎用プログラムであり、三角形あるいは四面体要素分割の上での種々の有限要素空間を設定し、剛性行列を生成できる。不定値行列を導く混合型有限要素法の代表例である、非圧縮流れ問題、静磁場問題、半導体問題での Dissection コードの有効性を示す。二次元問題では、スーパースカラーCPUに最適化した直接法は反復法より高速であり、100万自由度を超える大規模な3次元問題では、領域分割と組み合わせ効率的な前処理を構成することができる。 |
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日時 | 2017年2月8日㈬ 15:20–16:20 |
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場所 | 青葉山キャンパス 情報科学研究科棟 2階中講義室 |
備考 | 情報科学研究科研究科重点プロジェクト「数学と諸分野の協働推進による学際的・総合的な新領域研究の開拓」第5回講演会を兼ねています。 |
15:20–16:20 | 大塚 厚二 氏 (広島国際学院大学) ◆ 講演題目 Programming by FreeFem++ and its application to shape optimization ◆ 概略 数理モデルの研究では数学的妥当性の下で、モデリング・連続体定式化・離散化・数値計算・可視化といった一連の流れが必要となる。一連の流れをシームレスに扱うツールが欲しくなり、1994 年ごろにパリ第6大学の O. Pironneau 教授と F. Hecht 教授による FreeFEM プロジェクトを知った。シームレスに扱う方法は数理研究者に役立つと考えて「有限要素法で学ぶ現象と数理」を著した。第1章が連続体定式化、第2・3章が単独方程式の離散化・数値計算・可視化、第4章で連続体、第5章では反応拡散に応用し、最後が数学理論との対応になっている。講演では、第4章2節の固体力学までについて FreeFem++ を使う研究方法をサンプルで示し、最後に、筆者の研究テーマである「偏微分方程式境界値問題における特異点集合の形状最適化」への応用について紹介する。本を持たない聴衆のため、下記サイトに資料を用意しておく。 http://www.comfos.org/jp/ffempp/book/course |
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日時 | 2017年1月27日㈮ 16:30–17:30 |
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場所 | 青葉山キャンパス 情報科学研究科棟 2階大講義室 |
備考 | 情報科学研究科研究科重点プロジェクト「数学と諸分野の協働推進による学際的・総合的な新領域研究の開拓」第4回講演会を兼ねています。 |
16:30–17:30 | 藤原 祐一郎 氏 (千葉大学大学院融合科学研究科) ◆ 講演題目 Reverse-complement 対応型 difference systems of sets とその DNA ストレージへの応用 ◆ 概略 有限巡回群の部分集合族のうち、ある種の組合せ的条件を満たすものとして、difference systems of sets (DSS) というものがある。DSSは本来、情報通信における同期問題を解決するための組合せ構造として提案されたが、以後、純粋に組合せ論の観点からも、その存在性などが研究されてきた。本講演では、reverse-complement DSSという、DNAに情報を記録する仕組みに有用なDSSの変種を提案し、その組合せ論的構成法などを紹介する。 |
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日時 | 2017年1月11日㈬ 16:30–17:30 |
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場所 | 青葉山キャンパス 情報科学研究科棟 2階大講義室 |
備考 | 情報科学研究科研究科重点プロジェクト「数学と諸分野の協働推進による学際的・総合的な新領域研究の開拓」第3回講演会を兼ねています。 |
16:30–17:30 | 坂上 貴之 氏 (京都大学大学院理学研究科) ◆ 講演題目 応用複素関数論による流体数理コンセプトモデルと諸分野連携 ◆ 概略 二次元非粘性・非圧縮流体が正則関数と等価であることは,はるか100年以上も前から知られた古典的事実であり,当時の翼理論などに代表される工学的な諸問題の多くは複素関数論を通して本質的な理解が進められてきた.京コンピュータに代表される大規模数値計算が利用可能な現代にあって,こうしたいわゆる「素朴すぎる」とも言える数理モデルにはもはや解決できるような課題はないのだろうか?確かに工学的に流体運動を記述する偏微分方程式などが明確な問題であれば,それを数値計算で解けば定量的な近似値は得られるが,我々はその対象となる問題がこれまでに扱われなかった,例えば環境や生命現象に関わるものであるような場合,依然として定性的側面や本質的なメカニズムの理解においてこうした素朴な流体モデルは我々に教えてくれることは多い.同時に,こうした古典的な重要性に鑑みて100年以上前にスタートした複素関数論の応用数学研究が長い時を経て他の数学分野の発展や計算機などとのつながりを得て日々進歩し,現在,新しい応用研究の萌芽として再発見されつつある.本講演では,講演者がJSTさきがけやCRESTから始まり現在に続く一連の研究を紹介し,数学と諸分野について,数学者の立場としての連携のあり方,またこれらのモチベーションが新しい数学としての研究対象を生み出す協調関係につながるかどうかの可能性などについて,参加者の皆さんと議論できればと考えている. |
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日時 | 2016年12月22日㈭ 16:30–17:30 |
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場所 | 青葉山キャンパス 情報科学研究科棟 2階中講義室 |
備考 | 情報科学研究科研究科重点プロジェクト「数学と諸分野の協働推進による学際的・総合的な新領域研究の開拓」第2回講演会を兼ねています。 |
16:30–17:30 | 丸橋 弘治 氏 (株式会社富士通研究所・知識情報処理研究所・人工知能研究センター・シニアリサーチャー) ◆ 講演題目 テンソル分解を用いた大規模実データ分析 ◆ 概略 ネットワーク通信ログやWebアクセスログ、POSデータといった、人や機器などの要素間関係を記録したデータから、不正行為などを発見することが、セキュリティやマーケティングなどの分野で求められている。本講演では、要素間関係を表すデータをテンソルとみなし、テンソル分解を用いて要素間関係の分布をモデル化することにより、特徴的な要素間関係を検知する、いくつかの事例を紹介する。また、近年注目を浴びているDeep Learningを応用した、要素間関係分析の試みも紹介する。 |
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日時 | 2016年12月8日㈭ 16:30–17:30 |
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場所 | 青葉山キャンパス 情報科学研究科棟 2階大講義室 |
備考 | 情報科学研究科研究科重点プロジェクト「数学と諸分野の協働推進による学際的・総合的な新領域研究の開拓」第1回講演会を兼ねています。 |
16:30–17:30 | 池村 淑道 氏 (長浜バイオ大学客員・名誉教授, 国立遺伝学研究所・総合研究大学院大学名誉教授) ◆ 講演題目 ゲノムビッグデータからの教師なし学習による想定外知識発見と社会的重要課題への応用 ◆ 概略 ゲノム配列を代表例とする、生命科学分野の多様な測定データはビッグデータ化しており、そこにどの様な興味深い新知識が潜んでいるのかは想像することすら困難と思える。この様な状況下では、モデルや仮説や予備知識なしにビッグデータを研究できる「教師なし機械学習」が威力を発揮する。ゲノム配列はATGCの4種類の文字で構成される長文と言えるが、その文章中の連続文字列(例えば5連や6連、あるいは20連続文字)についての「ワードカウントに着目した機械学習」を行ってきた。ワードカウントのような理解しやすい解析を行うことでも、想定外の多様な知識発見が可能になる。20連文字を対象にした場合、約一兆一千億(=$4^{20}$)次元のデータ解析となり、スパースな大量データ解析となる。「コンピュータでエボラやインフルエンザウイルスの弱みを探る」等の社会的に重要な課題への応用も可能になっている。 |
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日時 | 2015年2月10日(火) 15:00−17:00 |
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場所 | 青葉山キャンパス 情報科学研究科棟 2階大講義室 |
世話人 | 尾畑伸明 |
15:00--15:50 | 片岡 駿 氏(東北大学情報科学研究科)
◆ 講演題目 頂点情報を考慮したコミュニティー構造抽出のためのマルコフ確率場モデリング ◆ 内容 ネットワークからのコミュニティー構造の抽出はネットワーク科学の基本的な問題であり,コミュニティー構造を特定することで,機能的に関連した頂点集合の発見や頂点間の未知の繋がりを予測することができる.従来のコミュニティー構造の抽出方法では,ネットワークの繋がりの情報にのみ注目してコミュニティーの構造の推定が行われている.しかしながら,コミュニティー構造抽出に使用されるネットワークは対象となるシステムをグラフ構造に抽象化したものであるので,現実のネットワークではそれぞれの頂点も何らかの情報を持っていると考えるのが自然である.本講演では,ネッワークの繋がりの情報だけでなく頂点情報も考慮したマルコフ 確率場モデルの構築を行い,そのモデルを用いた効果的なコミュニティー構造の抽出アルゴリズムについて紹介する. |
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16:10--17:00 |
高安 美佐子 氏(東京工業大学総合理工学研究科)
◆ 講演題目 企業間取引のビッグデータと数理モデル ◆ 内容 日本では,サービスやモノの流れが記録されている100万社に及ぶ企業間の取引関係のネットワークの情報がある。 これは、世界的にも類を見ないデータベースであり、研究者、企業、省庁などからその利活用が注目されている。 本講演では、データベースを解析した結果得られた様々な数理的性質を示し、それらの性質を再現する数理モデルを導入する。 また、そのモデルを用いた予測シミュレーションなどについても解説する。 |
日時 | 2015年1月26日(月) 15:00−17:00 |
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場所 | 青葉山キャンパス 情報科学研究科棟 2階大講義室 |
世話人 | 原田昌晃 |
15:00--15:50 | 坂上 貴之 氏(京都大学理学研究科)
◆ 講演題目 二次元ハミルトンベクトル場のグラフ表現とその応用 ◆ 内容 二次元多重連結領域内におけるハミルトンベクトル場に対する,ハミルトニアンの等高線(流線)の位相構造を考える.特に微小摂動によっても,流線の位相構造を変えない構造安定なものを考え,それに対して一対一に対応するグラフ表現が存在することを示す.構造安定な二次元ハミルトンベクトル場の流線の位相的分類理論については,講演者らが固有の語表現が存在することを示しているが,語表現と流線構造の対応は一対多であるため,その表現力は限定的であるという問題があったが,グラフ表現によりその問題は解決される.それのみならず,語表現やグラフ表現をうまく組み合わせて使うことによりよりハミルトンベクトル場の分類や構造不安定な流れを通した遷移などがすべて記述できるようになる.これらの応用として二次元の非圧縮流れを考え,流れの時間発展の文字列やグラフによる記述が可能になることを示す.連続的な流れ場の情報が離散的な情報として縮約されることで得られるメリットについて説明すると同時に,この離散的な特徴づけを通して期待できる離散数学の理論からフィードバックの可能性についてフォーラムの参加者と議論したい.本講演は京都教育大学の横山知郎准教授と共同研究に基づくものである. |
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16:10--17:00 |
横山 知郎 氏(京都教育大学)
◆ 講演題目 ミンコフスキー時空内の相対論的helicityと絡み目 ◆ 内容 helicityは3次元空間内の流体の絡み具合を表す量である.4次元Minkowski時空における相対論的helicityという概念も定式化されている.しかし,時空の歪みにより,古典的なhelicity保存則は破られる事が知られている.そこで,順圧流体内において保たれるような新しい相対論的helicityを定めた.特に,helicityと渦糸のトポロジーの関係は,渦糸(Banach環の純粋状態)の絡み目を使って記述できる.具体的には,相対論的helicityは,渦糸の絡み目の定める2-chainを固有時間断面でスライスして得られる絡み目の絡み数を測っている.一般に,4次元空間内では絡み目はほどけてしまうが,2-形式である渦度は2-chainに対応するので,順圧流体内の渦糸の絡み目は4次元時空間内でもほどけない.すなわち,基準時間断面では渦糸の絡み目は保存されないが,固有時間断面では渦糸の絡み目は保存される.本講演は,東大新領域の吉田善章氏と川面洋平氏との共同研究に基づく. |
日時 | 2014年12月9日(火) 15:00−17:00 |
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場所 | 青葉山キャンパス 情報科学研究科棟 2階大講義室 |
世話人 | 中澤嵩 |
15:00--15:50 | 梶ヶ谷 徹 氏(東北大学理学研究科)
◆ 講演題目 可積分系に対応する曲面の離散化と応用 ◆ 内容 ここ20年, 滑らかな曲面を離散化するという試みが数多くなされている. このような試みには, 離散化された対象の持つより根源的で豊かな数学的構造を研究するという数学サイドからの期待や, 可視化の技術などへ応用するという目的もある. 本講演では, いくつかの重要な曲面のクラスの満たす微分方程式が, 可積分系の枠組みで捉えられることを紹介し, そのような曲面の離散化を,「曲面の幾何学的性質の離散化」と「可積分系の差分方程式」の二つの観点により与え, それらが両立することをいくつかの例に沿って紹介する. また, この考え方を用いた流体の可視化への応用例を紹介したい. |
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16:10--17:00 |
岡部 朋永 氏(東北大学工学研究科)
◆ 講演題目 航空機用先進複合材料における変形・損傷・破壊に関する力学モデリング ◆ 内容 近年航空機構造への適用に期待がかけられている先進複合材料、特に炭素繊維強化プラスチックおよびセラミック基複合材料における変形・損傷・破壊といった力学に関する数値シミュレーション研究について紹介する。一般に、先進複合材料の変形・損傷・破壊においては幅広いスケールの現象が複雑に絡み合っている。これらは互いに関係を持ちながらも、その挙動を記述あるいは再現するための力学的な基礎式は全く異なるといったケースが多い。そこでまず、それらをスケール別に概説し、次に、スケール間の相互関係を結びつけるための方法論であるマルチスケールモデリングについて述べる。特に、応用数学的手法である漸近展開法と工学的かつ実用的な手法である情報伝達手法について丁寧に紹介したい。また最後に、航空機用材料の力学モデリングにおける今後の研究展望についても紹介する。 |
日時 | 2014年11月27日(木) 15:00−17:00 |
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場所 | 青葉山キャンパス 情報科学研究科棟 2階大講義室 |
世話人 | 宮田洋行 |
15:00--15:50 | Marcel Roeloffzen 氏(東北大学情報科学研究科)
◆ 講演題目 Kinetic data-structures in the black-box model ◆ 内容 Over the past decade or so several there has been an increasing interest is so-called kinetic data. That is, geometric data that changes over time. The goal is then to maintain some information on this data as it moves. For example one could maintain a convex hull or Delaunay triangulation of a set of moving points. One of the most-used methods to maintain these structures is the Kinetic Data Structures (KDS) framework. Unfortunately this framework assumes that each object has a trajectory of constant complexity and this trajectory is known. In practise these trajectories are generally not known or have high complexity. For this reason we introduce the black-box model which is less restrictive and assumes only a maximum speed on the objects. In this talk I will present the black-box model in more detail and show for several structures how to maintain them efficiently in this model. |
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16:10--17:00 | 前原 貴憲 氏(国立情報学研究所)
◆ 講演題目 行列の同時ブロック対角化法 ◆ 内容 対称行列の対角化(固有値分解)は行列に対する基本的な処理であるが,その複数の行列への拡張(同時対角化)も理論・応用の両面で興味深い処理であって,古くから研究が行われてきた.例えば「複数の対称行列が同時対角化可能であるための必要十分条件は,それらが可換であること」などが有名な結果である. 本研究ではこの問題をさらに拡張し,非対称かつ互いに可換ではない複数の行列が与えられた場合を考える.この場合,同時対角化することは不可能となるため,できるだけ細かく同時ブロック対角化することが目標となる. 本発表ではこの問題に対する数学的枠組みである行列*代数の理論を説明し,それに基づく数値的なアルゴリズムを紹介する.また,問題のさらなる一般化や,手法の工学的応用についても述べる. |
日時 | 2014年10月15日(水) 15:00−17:50 |
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場所 | 青葉山キャンパス 情報科学研究科棟 2階大講義室 |
世話人 | 中澤嵩 |
15:00--15:50 | 小林 康明 氏(北海道大学電子科学研究所)
◆ 講演題目 ノイズのある2振動子系のリエントラント転移 ◆ 内容 ペースメーカーとランダムノイズの影響下にある振動子を考えたとき,ペースメーカーとの結合が弱いとダイナミクスはノイズに支配されるが,結合を強くしていくと位相同期が見られるようになるのはよく知られている。結合強度が大きいほど早く同期状態に収束するので,結合強度は大きいほど良いように思われるが,実際には結合強度をさらに強くすると脱同期が見られる場合がある。 本講演では,一見直感に反するこのような転移がリミットサイクル振動子の結合系で実際に見られることを確認した後,同様の現象を起こす位相振動子のミニマルモデルを提示し,解析を行う。とくにリエントラント領域の転移線を理論的に説明できることを示す。ネットワーク結合系における同様の転移についても議論する。 |
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16:00--16:50 | 井元 佑介 氏(九州大学大学院数理学府)
◆ 講演題目 Poisson方程式に対する粒子法の誤差評価 ◆ 内容 SPH法やMPS法に代表される粒子法は, 特に津波のような移動境界を持つ流れを再現する数値計算手法の一つとして, 現在幅広く利用されている.一方で, 近似解の誤差評価といった数学的正当化が十分に行われておらず,現在もその成果が待たれている. そこで我々は, 粒子法の誤差評価の第一ステップとして,Poisson方程式に対するあるクラスの粒子法を提案し,その誤差評価を得たので紹介する.我々の提案する粒子法は,SPH法やMPS法を含むだけでなく,従来は用いられなかった重み関数も利用できるなどの特徴を持つ. 誤差評価では, 我々が新たに導入した粒子法に用いる粒子分布の正則性と接続性が重要な鍵となる.これらの性質を持った粒子分布の下で, 近似解の誤差が重み関数の影響半径に関して2乗収束することを示す.また数値実験で得られた誤差の収束次数が,数学的に得られたものと一致することを紹介する. さらに実際の数値計算において, 重み関数の選択が誤差へ及ぼす影響についても紹介する. |
17:00--17:50 | 佐々木 多希子 氏(東京大学数理科学研究科)
◆ 講演題目 非線形偏微分方程式の差分解の爆発について ◆ 内容 非線形偏微分方程式の解が爆発する場合,その爆発時刻を求めることや,爆発時時刻付近での解の挙動の研究は非常に重要であり,これらを数値的に求める手法が研究されている. しかし,それらの多くは,数値解がある時間で急激に増大していることを数値実験でのみ確認しており,厳密な意味での解の爆発との関係は分かっていないことが多い. 1970年代にある熱方程式に対して,数値爆発時刻の厳密な爆発時刻への収束性が保証された数値解法が研究された.また,近年,波動方程式に対しても,数値爆発時刻の厳密な爆発時刻への収束性が保証された数値解法が研究された.我々は熱方程式や波動方程式に対する成果を取り入れて,あるシュレディンガー方程式に対して,解の爆発を数値的に厳密に再現する数値解法を構築することができた. 本講演では,熱方程式の,数値爆発時刻の厳密な爆発時刻への収束性が保証された数値解法について,また波動方程式やシュレディンガー方程式への応用について紹介する. |
日時 | 2014年6月16日(月) 15:00−17:00 |
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場所 | 青葉山キャンパス 情報科学研究科棟 2階中講義室 |
世話人 | 中澤嵩 |
15:00--15:50 | 百武 徹 氏(横浜国立大学工学部)
◆ 講演題目 微小血管における人工赤血球の酸素運搬過程に関する研究 ◆ 内容 急速な少子高齢化の到来に伴う輸血用血液製剤不足の解消,また現行の血液製剤に対する様々なリスクの軽減を目指し,現在,赤血球製剤の代替物として,ヘモグロビンをリポソームに封入したカプセル型人工赤血球の開発が進められている.本講演では,微小血管網での赤血球および人工赤血球の組織への酸素運搬過程に関して,血管内だけではなく血管外の組織までも含めた各成分の対流,拡散,反応の解析を行った研究例について紹介する.解析手法としては流体に対しては格子ボルツマン法を適用,赤血球に関しては、埋め込み境界法を用いて赤血球の変形を計算している.人工赤血球による酸素不均一性改善効果を示すとともに,粒子径の違いにより同じ酸素分圧でも酸素供給量が異なるという結果は,組織への酸素供給という観点から人工赤血球の設計において重要な情報となり得ると考えている. |
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16:10--17:00 | 長山 雅晴 氏(北海道大学電子科学研究所、JST CREST)
◆ 講演題目 表皮構造の数理モデル ◆ 内容 皮膚の重要な機能の一つとして,体内からの水分蒸発や体外からの細菌の侵入を防ぐバリア機能が知られている.この機能は皮膚の表面にある角質細胞とその細胞間を埋めている細胞間脂質が担っており,バリア機能が恒常的に保たれることは非常に重要である.バリア機能の恒常性は皮膚疾患や老化によって低下し,皮膚感覚異常等の問題を引き起こす.我々は,生理学を基盤とした数理モデリングからバリア機能の恒常性維持機構を数理的視点から明らかにすることによって,バリア機能の恒常性維持とその低下要因に対する生理学的機構を示唆することを目的としている.そのために,まず表皮構造を形成する数理モデルの構築を目指す.本研究では,表皮細胞内でのカルシウムイオンダイナミクスを基盤として細胞運動ダイナミクスを考慮した表皮構造数理モデルを提案する.数理的視点からバリア機能の恒常性維持の定義を与え,その定義に基づいて恒常性維持のメカニズムを議論していく. |
日時 | 2014年5月21日(水) 15:00−18:00 |
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場所 | 青葉山キャンパス 情報科学研究科棟 2階大講義室 |
世話人 | 中澤嵩 |
15:00--15:50 | 鈴木 杏奈 氏(東北大学大学院 環境科学研究科)
◆ 講演題目 非整数階微分含む物質・熱移動モデルの開発とその工学的展開 ◆ 内容 地熱開発における還元・涵養は、貯留層の持続性に寄与する一方,還元冷水による生産領域の冷却が懸念されています.最適な還元井を設計するためには,地熱貯留層,すなわち不均質な断裂型岩体における流動を評価しなければなりません.本研究では,地下水流動評価を目的としたトレーサー試験に着目し,き裂媒体内の物質移行を表現するモデルとして非整数解微分を含めた物質移動モデル(fractional Advection Dispersion Equation :fADE)に着目しています. 従来のトレーサー解析モデルは,地下の複雑性を表現するために一つ一つの要素を詳しく調べ, 再度組み立てるという要素還元的アプローチがとられてきました.このアプローチでは, 複雑さを表現する一方で, 式を構成するパラメータが増加するため,パラメータの推定には詳細なフィールドデータを必要とします.それに対して, fADEは地下の複雑さをまとめて評価し,少ないパラメータ数で地下の物質移動を表現可能であることから,計測データの不確実性が高い地熱開発において有効であると考えております. 本研究では,非整数階微分の階数やモデル内の係数がもつ物理的意味を解明するため,地下構造との関係を解析し,例えば,き裂長さのフラクタル次元や断層領域構造との関係を明らかにしました.また,fADEの空間的拡張や熱応答モデルへの展開を実施し,還元に伴う物質・熱移動評価,さらには生産予測へ展開を目指しています. |
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16:00--16:50 | エリオット・ギンダー氏(北海道大学電子科学研究所)
◆ 講演題目 A variational method for computing motion by hyperbolic mean curvature flow ◆ 内容 Curvature dependent accelerations (oscillating interfaces) contrast mean curvature flow, and it is natural to search for a thresholding algorithm to approximate their dynamics. The target of the current study is to construct such a method. Moreover, from the point of view of applications, since interfaces in nature are often observed to oscillate (e.g., elastic membranes, soap bubbles, and liquid droplets), we remark this class of motions includes interesting physical phenomena. By utilizing a variational formulation of our algorithm, we will also investigate the volume-constrained interfacial motions. |
17:00--18:00 | 畔上 秀幸 氏(名古屋大学情報科学研究科)
◆ 講演題目 形状最適化問題の正則化解法 ◆ 内容 偏微分方程式の境界値問題が定義された領域の境界形状を設計対象にした最適化問題は形状最適化問題とよばれる.設計変数は領域の変動を表す初期領域上で定義された関数が選ばれる.評価関数は設計変数と境界値問題の解に対する汎関数で与えられる.このような問題を勾配法の考え方に基づいて解こうとすれば,設計変数の変動に対する微分を評価する必要が生ずる.関数空間上の微分にはいろいろな定義が存在するが,解法までを見通したならば,フレッシェ微分の定義に従う必要が生ずる.このような必然性に従って,境界値問題の環境を整備していけば,領域変動に対するフレッシェ微分(形状微分とよぶ)を評価することができるようになる.しかし,評価関数の形状微分は次の領域をいつも定義できるほどの滑らかさを持たないことが明らかになる.そこで,平滑化の機能を備えた勾配法が必要となる.この結論にいたる過程を議論したい. |